長生き達人たちの「ご長寿健康法」大公開!の画像
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 年が明け、また1つ年を取る。月日の流れに抗うことはできないが、いつまでも元気で長生きすることはできる。そんな“ご長寿達人”たちの健康法を紹介しよう。皆さんも、今年から実践してみては!?

■三浦雄一郎さん(85)“余命3年宣告”から世界の頂へ――

 最初に紹介するのは、世界の最高峰・エベレストの世界最高齢登頂記録(80歳)を持つプロスキーヤーの三浦雄一郎さん。まさに“長生き達人”の極みと言えるだろう。その超人的な体力と精神力を支えるものは、いったい何か。たっぷりと話を聞いてみた。

 若い頃は富士山や世界の名だたる山々をスキーで直滑降。70歳を超えてからは、世界の山々の登頂に挑み続ける山の鉄人・三浦さん。86歳になる今年も、世界第6位の高峰、チョー・オユー(チベット、8201メートル)に登り、スキー滑降する予定だ。だが、そんな三浦さんも、60代前半の頃、「500メートルの山に登るのも四苦八苦する」時期があったという。

「54歳のとき、世界七大陸の最高峰での滑降を制覇して、引退宣言をしたんですね。その後は講演会やデスクワークが中心の仕事をするようになったんですが、山にトライしなくていいから、飲み放題食べ放題で、ろくに運動もしなかった。そうしたら、あっという間に体重が90キロ近くなり(身長165センチ)、血圧は200近くまで上がって糖尿病や高脂血症にかかるという、完全なメタボになったんです。このままいけば余命3年と、医師から宣告されるほどでした」

 日焼けして、がっちり引き締まった現在の姿からは想像もできないが、当時は周囲から注意されても、“この年で今さら……”という気持ちがあり、運動しようとは思わなかったそうだ。その三浦さんを変えたのが、父の敬三さん(06年に101歳で逝去)だった。当時90歳を超えていた敬三さんが「99歳になったらモンブランを滑る」と宣言し、体を鍛え始めたのだ。「そんな父の姿を見て、私も負けてはいられないと思い、65歳のとき“70歳でエベレストに登る”という目標を立て、体を鍛え直すことを始めたんです」

 とはいえ、引退後の不摂生がたたり、最初は札幌市郊外にある500メートルの藻岩山に登るのでさえ息が上がり、遠足に来ていた幼稚園児に抜かされる始末だった。そこで1年目は1キロ、2年目は3キロのアンクルウエイトをつけ、外出時には常に20キロ近い重さのリュックを背負った。こうした地道な努力を5年間、コツコツと続け、70歳でエベレストに挑戦。世界最高齢での登頂成功はギネス記録にも認定された。

●ハートに火をつけた父の姿

「99歳の父がモンブランでのスキー滑降を実現したのは、その3か月前でした。私にスキーの楽しさを教えてくれたのも父だったんですが、65歳のときには、身をもって、人は何歳になっても進化できることを教えてくれました。本当に感謝しています」

 こう言いながら三浦さんは、部屋の壁に掛けてある雪山の美しい写真を見る。「これは父が晩年に、山岳写真家として撮った写真なんですよ」

 その顔は、なんとも穏やかで優しい表情だった。「同世代の友達に“山に登れるほど元気があっていい”と羨ましがられますが、違うんですよ。山に登るために体を鍛えることが、元気の源なんです」

 だが、三浦さんとて、老いはひしひしと迫っていると言う。取材前日、ゴルフをしたのだそうだが、「若い頃は200ヤードは軽かったのに、今は140~150ヤードしか飛ばない」と、少し悔しそうに話す。いやいや、ご立派! 十分飛んでますよ!!

「振りをどうにかしたら飛ぶんじゃないかとか、今の安い通販のクラブを替えたら、もっといけるんじゃないかとか、いろいろ考えているんですね(笑)。こんなものだと諦めずに、どうにか目標に近づこうと努力する。年を取っても、これを続けられることが、いつまでも若く健康でいられる秘訣じゃないでしょうか」

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