「若手落語家ブーム」次世代を担う未来の名人たち

「落語がブームだ」と言われる。だが、落語ブームという言われ方は、約15年程前からあって、その波が形を変えながら継続している。だから「落語がブームだ、ここのところずっと」と言うほうが的確だろう。

 では今、落語の何がブームとして注目されているのか? それは、これから世に羽ばたこうという若手だ。落語家が前座、二ツ目、真打と芸歴をステップアップさせていく中で、若き二ツ目や若手真打を応援する観客が急増しているのだ。ゆえに「若手落語家ブーム」と言ってもいい。

 その発信源が、若手ユニット『成金』だ。彼らは桂歌丸会長率いる落語芸術協会に所属する11人で、メンバーは、柳亭小痴楽・昔昔亭A太郎・瀧川鯉八・桂伸三・三遊亭小笑・春風亭昇々・笑福亭羽光・桂宮治・神田松之丞(講談)・春風亭柳若・春風亭昇也。彼らは20~30代という同世代女性の支持を見事に掘り起こした。『成金』メンバーが出演する落語会は、他の会と違って、会場に若い女性のかぐわしいヘアフレグランスが漂っていたりする。

 若手落語家を若い女性が追いかける――。この現象は1990年に放送された深夜番組『平成名物TVヨタロー』に出演していた、若き日の春風亭昇太、立川談春・立川志らくたちに追っかけの女性ファンがついて以来のムーブメントである。

 ちなみに二ツ目の落語家による落語会は、観客が30人も入れば十二分なのだが、年末に開催された『大成金』公演は、東京・霞ヶ関のイイノホール(収容500人)という大会場がなんと1日で3公演すべて満席だった。人気真打をゲストに招いてはいるものの驚異的な集客ぶりだ。

 また、落語協会、立川流、円楽党ら他団体の若手も人材に厚みが出てきており、渋谷に定着して活気を見せている「渋谷らくご」など新たな場から新規ファンを拡大している。

 なぜそういう現象に至ったのか。現在の若手と呼ばれる面々の多くは2000年代の「落語ブーム」を牽引した故・立川談志、柳家小三治、立川志の輔、春風亭昇太、笑福亭鶴瓶、立川談春、柳家喬太郎らに刺激を受けて落語界の門を叩いた。つまり「落語ブーム」の熱が上から下へと伝わり、脈々と新世代につながったというわけだ。

 その結果、5年前に東西で約700人だった落語家の数が、現在は900人に迫っているという。時代の趨勢に逆らうような落語家人口の急増は、一方で売れない落語家の数を増やす厳しい現実も生んでいる。だが、新たな才能を掘り起こすバックボーンにもなっているのだ。

 あと数年経つと『成金』メンバー達が真打に昇進する。そのとき「落語ブーム」という言葉がさらに世間に踊るだろう。まだチケットが買えるうちに、若手落語家の旬な勢いを味わってみてはいかがだろうか。

本日の新着記事を読む