『わろてんか』、濱田岳の“泣き演技”に脱帽!の画像
『わろてんか』、濱田岳の“泣き演技”に脱帽!の画像

 葵わかな(19)がヒロインを務めるNHKの連続テレビ小説『わろてんか』では、1月15日からの放送週にたくさんの事件が起こった。藤吉(松坂桃李/29)が病に倒れ、ラジオの普及により、風鳥亭が危機に! しかし、視聴者の心を最も強く打ったのは、風太(濱田岳/29)とトキ(徳永えり/29)の結婚だろう。

 まず1月20日の放送回を振り返ってみよう。寄席に客が来なくなることを心配し、月の井団吾(波岡一喜/39)のラジオ出演を妨げようとしていた風太たちだったが、奮闘むなしく、団吾はラジオで落語を披露した。選んだ演目は『死神』。それは藤吉に向けられたものだった。

 一人落ち込む風太に、トキは励ましの言葉をかける。しかし、このとき風太が伝えたかったのは、トキへの愛情だった。そしてついにプロポーズ。二人は涙を流し、無事に結ばれることとなった。後日、ラジオの効果で風鳥亭は大にぎわいとなり、藤吉も退院を果たした。

 今回は、団吾の落語が実にうまかった。病床の藤吉を想い、『死神』をぶつけてきたのもすてきだ。だが「結婚したら俺の三歩後ろを歩け、めしには甘いもん一品つけろ、俺より絶対長生きせえ」という風太のプロポーズが、すべて持っていってしまった。実はこの“脇役の恋”を描く手法は、NHK大阪制作の必殺技だ。

 これまでも2014年下半期『マッサン』での俊夫(八嶋智人/47)とハナ(小池栄子/37)の凸凹カップル、15年下半期『あさが来た』の雁助(山内圭哉/46)とうめ(友近/44)のほろ苦い恋など、脇役の恋愛模様を丹念に描いて、物語に奥行きを生んできた。そのためキャスティングも大切になるが、今回この大役を担ったのは、人気絶頂の濱田岳なのだから、彼にかかる期待は大きかったはずだ。

■朝ドラから大河ドラマへ逆出世!?

 濱田は子役出身で、04年には『3年B組金八先生』(TBS系)などに出演。以後、人気俳優への階段を駆け上がってきたが、NHKへの出演は意外にも少なかった。NHKで大きな役を任せられるようになったのは、14年の大河ドラマ『軍師官兵衛』(ちなみに松坂桃李も出演)の栗山善助役と、わりと最近のこと。これで評価が高まり、一昨年の『トットてれび』(NHK)では、ディレクター伊集院役で物語全体を支えた。

 10年の朝ドラ『ゲゲゲの女房』でブレイクした向井理(35)が、翌年の大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』に出演するなど、かつては“朝ドラ→大河”という出世パターンが見られたが、朝ドラの注目度が高まるにつれ、キャスティングもより豪華になっている。逆に“大河→朝ドラ”という起用法が、朝ドラキャスティングの新方程式と言えそうだ。

 思えば昨年の『女城主 直虎』で好演した高橋一生(37)も、大河ドラマ出演直後に『わろてんか』に抜擢され、話題となった。

 いずれにせよ、大きな期待に、見事応えた濱田岳の“泣き”の演技は、『わろてんか』のクライマックスの一つに数えられること間違いなし。物語も残り2か月ほどといういいタイミングで、視聴者の心をつかんでくれた!(半澤則吉)

朝ドラ批評家半澤の朝ドラブログ
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