■大人になっても消えない!? 「持続性蒙古斑」

●持続性蒙古斑とは(じぞくせいもうこはん)

 蒙古斑のうち、思春期を迎えても自然に消えないものを持続性蒙古斑と呼ぶ。大人になっても残る持続性蒙古斑は、蒙古斑全体の3〜4%の割合といわれている。蒙古斑は病気ではないが、外見上のコンプレックスになる可能性がある。

●持続性蒙古斑の治療法

 持続性蒙古斑の治療法として一般的なのは、レーザー治療である。治療に用いられるレーザーにはさまざまな機種があるが、持続性蒙古斑には短時間に局所的な治療が可能で、体への負担が少ないといわれるQスイッチレーザーなどが有効である。皮膚科や形成外科で扱っており、基本的には健康保険の適用内のため、まずは診察を受けに行ってみるのがよいだろう。

 なお、1回のレーザー治療で蒙古斑が消えることはほとんどない。蒙古斑の大きさや色素の濃さによって大きく異なるが、2〜3か月に1度のペースで、レーザー照射を何度か繰り返すのが一般的だ。また、治療の過程で一時的に色が濃くなったり、火傷したりするリスクや、最終的に消えない可能性もあることは覚えておこう。

■お尻以外にもできる!? 異所性蒙古斑

●異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)とは

 お尻や腰ではなく、顔や胸やお腹、背中、手足などに現れる蒙古斑もある。これらは異所性蒙古斑と呼ばれ、年齢を重ねても消えにくく、大人になっても残ることが珍しくない。

 蒙古斑がお尻や腰以外の部分に現れることに、特別な原因や理由があるわけではない。たまたま、その場所にメラノサイトがあっただけである。妊娠中の母親の行動は無関係な上に、妊娠中の検査などで判明する類いのものではない。ましてや出産や子育てのやり方などに左右されるものでもない。

 どうしても気になってしまうのが親心であることは分かるが、両親が責任を感じる必要はまったくないから安心してほしい。また、異所性蒙古斑は痛みやかゆみを感じるわけでも、悪性化して病気の原因になるわけでもない。ただし、目立つ場所にあったり、洋服などで隠すことができない位置にあるケースでは、いずれ子どもにとって外見上のコンプレックスになる可能性がある。

●異所性蒙古斑の治療法

 異所性蒙古斑においても、治療法の第1選択肢はQスイッチレーザーなどになる。持続性蒙古斑では消えないということが判明してから治療を行うことが多いため、本人が成人していることも少なくない。しかし異所性蒙古斑では親が見た目を気にして、早い段階で治療の相談に行くことがある。

 レーザー治療を行うのに年齢制限はなく、施術する医師や病院によって対応が異なる。皮膚が薄い乳児のほうが綺麗に消えやすい、または蒙古斑のサイズが小さいうちに対処してしまったほうが結果的に負担が少ないといった理由から、生後すぐにレーザー治療を開始することがある。

 その一方で、治療中の痛みで暴れる、暴れるとレーザー照射に危険が伴うため入院して全身麻酔をする必要性が生じることもあるが、そうなると乳児とってはリスクや負担が大きすぎるという理由から、思春期以降の治療をすすめる場合もある。

 保険は適用されるが、複数回のレーザー照射が必要で、途中で色が濃くなったり、火傷してしまうリスクや完全に消えない可能性があるのは持続性蒙古斑と変わらない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3