赤ちゃんの「おしゃぶり」はいつまで!? そのメリットとデメリット

 多種多様に存在する育児アイテムのなかには、使うのは控えるべきか賛否が分かれるものがあり、「おしゃぶり」はその代表格ともいえる。「電車で泣いたときに重宝した」という好意的な意見もあれば、「歯並びに影響する」という否定的な意見もある。おしゃぶりのメリットとデメリットとは?

■「おしゃぶり」とは

 育児用品の一種である「おしゃぶり」は、乳首型で赤ちゃんがしゃぶれるような形状になっており、赤ちゃんの気持ちを落ち着かせたり、ストレスを軽減したり、リラックス効果があるとされている。

 赤ちゃんは「吸啜反射」(きゅうてつはんしゃ)といって、口に触れたものに無意識で吸いつく性質を備えており、眠いときや不安なときなど、自分の気持ちを落ち着かせるために母親のおっぱいを吸ったり指をしゃぶったりする。とはいえ状況によっては、授乳が難しい、赤ちゃんの指が不衛生、ということもあり、おしゃぶりはそんなときに活用される。おしゃぶりの材質は、ゴムもしくはプラスチックであることが多い。

 赤ちゃんがおしゃぶりを使用する時期に明確な決まりはないものの、だいたい生後2か月~1歳頃までが目安とされている。まず、おしゃぶりを与えはじめる時期については、生後2か月以降が望ましいとされており、特に母乳育児の場合、おっぱいを吸うことに慣れる前の段階でおしゃぶりを与えると母乳を嫌がる乳頭混乱が生じたり、おしゃぶりに慣れておっぱいを吸わなくなる怖れがあるためである。そして1歳頃までにはおしゃぶりを卒業させることが望ましいとされており、これは赤ちゃん自身の意思が芽生えてしまうと卒業が困難になってしまうためである。

 おしゃぶりは育児における必須アイテムというわけではなく、使う人、使わない人それぞれである。また、おしゃぶりが好きな赤ちゃんもいれば、おしゃぶりを好まない赤ちゃんもいる。しかし、なかには「おしゃぶりは危険なのでは!?」という不安からおしゃぶりを使わないようにしている人もいるという。

■「おしゃぶり」のメリット

 赤ちゃんの気持ちを落ち着かせる、ストレスを軽減させる、リラックス作用のあるホルモンを分泌させる、といった効果が期待できるおしゃぶりには、以下のようなメリットが挙げられる。

●指しゃぶり防止

 人生経験が短く、あらゆるものが新鮮で、興味を持ち触れたがるのが赤ちゃん。そのため、赤ちゃんの手はすぐに雑菌だらけになってしまうわけだが、その指を口に入れてしゃぶりだすとウィルス感染が心配になってくる。その点消毒して清潔を保つことが可能なおしゃぶりは雑菌によるウィルス感染のリスクが低い。

●ぐずり防止

 多くの親は、外出時、電車やバスや飲食店や人ごみで赤ちゃんが泣き止まなかったら……という不安を抱えている。公共の場であるがゆえ、すぐさま授乳するわけにもいかず困ってしまった経験を持つママもいるだろう。そういったときに非常に便利なのがおしゃぶりで、赤ちゃんに与えると落ち着き、泣き止んでくれる。

●寝かしつけが楽になり、夜泣きが軽減する

 眠りたいのにうまく眠ることができず、ぐずぐずしてしまうこともあるのが赤ちゃん。そんなとき、赤ちゃんにおしゃぶりを与えると安心し、スムーズに入眠してくれる。

●鼻呼吸の練習

 喉に優しいだけでなく、雑菌予防や病気予防、虫歯予防にもなる鼻呼吸。赤ちゃんは鼻呼吸メインの子が多いものの、口呼吸メインの赤ちゃんの場合、おしゃぶりを与えることで鼻呼吸を定着させることができる。おしゃぶりを吸っている間は口がふさがれて口呼吸ができなくなるので、赤ちゃんは自然と鼻呼吸するようになるのである。

●乳幼児突然死症候群の予防

 詳しいメカニズムはまだ解明されていないが、おしゃぶりを使っていたほうが、乳幼児突然死症候群を発症する可能性が低くなるという報告がある。

●親の負担を軽減させる

 赤ちゃんにおしゃぶりを与えることのメリットをいくつか挙げてきたが、これらは、赤ちゃんだけでなく親の負担を減らすことにもつながる。それでなくても心身の負担の大きい育児。おしゃぶりを上手に活用することで親の負担が軽くなることもあるのである。

 このほか、飛行機に乗るときにもおしゃぶりがあると、耳が痛くならずに済むともいわれている。

■「おしゃぶり」のデメリット

 さまざまなメリットがあり、育児における便利グッズともいえるおしゃぶりだが、デメリットについても押さえておきたい。

●歯並びが悪くなる可能性

 おしゃぶりを与えることで懸念されるのが、歯並びへの影響である。赤ちゃんがおしゃぶりを噛むようになってくると、歯に圧力がかかり、上の歯と下の歯に隙間が生じて、出っ歯になってしまう可能性がある。また、噛み合わせが悪くなる可能性もあり、注意が必要。そのため、おしゃぶりの長時間使用は控え、遅くとも1歳頃までには卒業しておくのがベターである。

●赤ちゃんの情緒・言語・コミュニケーション能力の発達に影響する可能性

 おしゃぶりを与えると確かに赤ちゃんは泣き止んでくれる。しかしおしゃぶりを与えすぎることは、親子のスキンシップの機会、赤ちゃんからの意思表示や言葉を発する機会を中断させている側面があり、その結果、赤ちゃんの情緒や言語、コミュニケーション能力の発達を妨げてしまうリスクが懸念される。おしゃぶりの「頼り過ぎ」にならないよう十分に注意したい。

●中耳炎発症の可能性

 1歳を過ぎてからもおしゃぶりを与えられていると、赤ちゃんの喉や鼻に圧力が加わって耳に細菌が流れやすくなり、中耳炎の発症リスクが高まるといわれている。また、おしゃぶりを制限することによって中耳炎発症率が下がるという報告もある。とりわけ、赤ちゃんの体調不良時のおしゃぶり使用には注意したい。

●おしゃぶり依存の可能性

 上記のおしゃぶりのデメリットを避けるためにも、赤ちゃんがおしゃぶり依存症にならないよう注意しなければならない。おしゃぶりへの執着や依存が高まると、出っ歯や中耳炎になる怖れ、発達への影響はもちろん、幼児になってからもおしゃぶりを手放せないということにもなりかねず、おしゃぶり卒業が困難になってくる。おしゃぶりはハイハイを始めるころに卒業するのが望ましい。

■2006年に起きた「おしゃぶり訴訟」とは!?

 2006年、おしゃぶりを3歳まで使い続けたことによって歯列やあごの変形が生じるなど深刻な障害が残ったとして、子どもとその母親が育児用品メーカーに損害賠償請求を求める訴訟を起こした。2008年に和解成立し、和解条項にはメーカー側の条件として「おしゃぶりが子どもの歯やあごなどに与える影響について情報収集に努め、製品の改良や適切な使用表示の実現に向けて、努力を継続する」と記載された。この件がきっかけとなり、育児用品メーカーは、おしゃぶり製品のパッケージやホームページにおしゃぶり使用上の注意事項を明記するようになり、また、平成19年度以降の母子手帳には「おしゃぶりの長期間の使用によるかみ合わせへの影響について」の記述が追加された。

■「おしゃぶり」の選び方

 赤ちゃんの口に直接入れるおしゃぶりは、清潔に保ちたいし、信頼できる製品を使いたいところ。おしゃぶりを選ぶにあたって気をつけたい点について説明する。

●哺乳瓶と同じメーカー

 ミルク育児をしている赤ちゃんの場合、毎日飲んでいる哺乳瓶の乳首に愛着を抱きやすい。ゆえに、哺乳瓶と同メーカー・同シリーズのおしゃぶりがおすすめである。哺乳瓶と同じ形状になっていることが多いので、赤ちゃんもおしゃぶりを受け入れやすい。

●月齢に合ったサイズのもの

 哺乳瓶の乳首同様、おしゃぶりもその月齢に応じたサイズに分かれているので、赤ちゃんの月齢にマッチした製品を選ぶとよい。

●衛生管理がしやすいもの

 ケースやキャップ、服やベビーカーにつなげられるおしゃぶりホルダーが付属している製品は、管理がしやすく、持ち運びにも便利である。また、おしゃぶりの形状に溝が少なければ汚れがたまりにくく、洗いやすい。さらに、後述するがおしゃぶりの消毒方法には3種類あるので、購入前に消毒方法も確認しておきたい。

 近年のおしゃぶり製品には、出っ歯になりにくい、鼻呼吸を促すなどの工夫が施されたものも少なくない。製品の仕様をよく確かめて、赤ちゃんに適したものを選びたい。

■「おしゃぶり」の手入れ

 おしゃぶりの消毒方法には、「煮沸消毒」「電子レンジ消毒」「薬液消毒」と大きく分けて3通りの方法がある。

●「煮沸消毒」

 沸騰したお湯に数分浸す。最も経済的。

●「電子レンジ消毒」

 容器におしゃぶりを入れて電子レンジで加熱する。消毒専用容器を使う場合は説明書に従う。タッパーを代用する場合は、タッパー内に水とおしゃぶりを入れ、少し蓋を開けて密封状態にならないようにして、500Wで3分加熱させる。

●「薬液消毒」

 哺乳瓶等の消毒に使われる薬剤に浸す方法で、説明書に従って行う。数時間浸すのが一般的だ。

■「おしゃぶり」の卒業

 これまでにも何度か触れてきたが、おしゃぶりはメリットばかりではなくデメリットもあり、過度な使用は赤ちゃんにさまざまなリスクを与え、おしゃぶり依存が強まるとおしゃぶり卒業が難しくなる。だからこそ、おしゃぶり使用時から「卒業」のことは念頭に置いておきたい。スムーズに卒業するための工夫としては、以下の方法がある。

●長時間使用を控える

 歯並びや噛み合わせの影響も踏まえ、1日3時間ほどにとどめておく。

●使用回数を減らす

 ハイハイをはじめたら、ほかのおもちゃを与えるなどしておしゃぶり以外のものに興味を持たせる。

●入眠時に使用しない

 入眠時のおしゃぶりは依存を強めやすい。寝つきにおしゃぶりを与えると、赤ちゃんは寝起き時にもおしゃぶりを求めがちになる。

■まとめ

 親にとっても赤ちゃんにとっても便利な反面、心配やリスクも併せ持っているのが「おしゃぶり」。使うときは、おしゃぶりのメリットとデメリットを正しく理解しておくことが大切だ。また、不安なことは、小児科や耳鼻科の先生、自治体などの保健師さんにどんどん質問して、おしゃぶりとの上手なつきあいかたを知っておこう。

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