毎年変わる春分の日。その決め方と意味が興味深い!の画像
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 春分の日といえば学校や会社が休みになって、彼岸花が咲くお墓へお参りに行ったり、おはぎを食べたりするイメージだろうか。受験のときに「春分の日の南中高度の求め方」で四苦八苦した記憶がある人もいるかもしれない。なぜ休日になったの? 20日なの? 21日なの? なぜ年によって日づけが変わるの? 思えば知らないことだらけの春分の日。その正体を紹介する。

■春分は太陽が真東から昇り、真西に沈む日

 春分の日は、英語で「Vernal Equinox Day」といい、ざっくり訳すると“春の等しい日”ということ。1年を24に分割した二十四節気のひとつにあたる。1年のうちで春分日と秋分日には、太陽が真東から昇り、真西に沈む。天文学でいうところの、太陽が春分点を通過した瞬間が「春分」になり、その瞬間が訪れる日づけが、春分の日になる。

●春分点とは?

 地球から見た太陽の通り道である黄道と、赤道の延長ラインが重なる「春分点」を、太陽黄経0度とする。ちなみに夏至の瞬間は太陽黄経が90度、秋分は180度、冬至は270度。夏至は最も昼が長く、冬至は最も夜が長いとされる。

■春分の日は、本当に昼と夜の長さがピッタリ同じ?

 正確には、やや昼の方が長い。まず、太陽が昇ってから沈むまでが昼、沈んでいる間が夜である。日の出は東の水平線から太陽の頭が出た瞬間、日の入りは西の水平線に完全に沈んだ瞬間ということになっている。ということは、太陽の直径ひとつ分だけ昼の時間が長いことになる。また、地球を覆う大気層が日の出の時間帯は膨張して見えるので、実際より2分ほど早くから太陽の頭が確認できてしまうのも理由のひとつだ。

■春分の日が年によって変わるのはなぜ?

 春分の日は3月の20日だったり、21日だったりする。曜日によっては連休になることもある。土曜、日曜日や祭日にかぶるなら、振替休日があるかもしれない。先々の春分の日を知りたい、という人も結構いるものだ。結果からいうと、春分日の日にちは、先々まで計算することができるが、法律の関係で前年まで公表されないことになっている。

 ではなぜ年によって変わるのか? 地球が太陽の周りを1周すると1年が経つ。1年は365日とされているが、実は、地球が太陽を1周するのには、365日+6時間弱かかっているのだ。そのため、毎年6時間弱ずつ春分の瞬間もずれていく。

●春分の日はいつ、どうやって決まる?

「国立天文台」が算出し、暦の年表をまとめた「暦象年表」には将来にわたって春分日が掲載されている。HPで閲覧可能だ。その情報を元に、閣議によって春分の日を決定し、前年2月の官報で報告されてはじめて正式に国民の祝日としての春分の日が確定することになる。来年以降の春分の日の日付は、計算する方法がネット上などにも公開されており、誰でも求めることができる。

■春分の日が、国民の祝日になったワケ

 春分の日には、平安時代から朝廷でお彼岸の法要が行われていた歴史がある。1878年(明治11年)からは「春季皇霊祭」という宮中祭祀になり、翌年には同名の祝日になった。

 太平洋戦争敗戦後、GHQの指示によって旧体制の祝日法は撤廃され、いくつかの皇室関連祝日がなくなっている。しかし「春季皇霊祭」は1948年(昭和23年)、新たに施行された「国民の祝日に関する法律」において、お彼岸に由来して「自然をたたえ、生物をいくつしむ」日として春分の日へと改称された。同様に「秋季皇霊祭」という祝日だった秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日とされている。

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