●結納には「正式結納」と「略式結納」がある

  先ほども少しだけ触れましたが、結納のスタイルには「正式結納(せいしきゆいのう)」と「略式結納(りゃくしきゆいのう)」があります。

□正式結納

 仲人(なこうど)が両家の間を行き来して結納品と受書を受け渡します。よって結納場所は両家の自宅で、このとき両家同士が顔を合わせることはありません。

□略式結納

 両家が一堂に会しているところで行われます。結納場所として多いのはホテルやレストランや料亭ですが、新郎側が新婦側の自宅を訪ねるケースもあります。略式結納での進行役は、仲人を立てていれば仲人が務め、仲人を立てていなければ新郎側の父親が務めることが多いです。また、「略式」なので当事者同士や両家同士で話し合って結納品や進行を簡略化することも増えてきています。

●地域によって結納のしきたりは違う

 結納のしきたりは、地域によって異なり、大きく3つ「関東式」「関西式」「九州式」に分けられています。略式結納が主流となっている最近は、結納のしきたりをめぐってトラブルが発生することも少なくなっているのですが、万が一に備え、それぞれの地域の事情やしきたりをある程度把握しておくために、簡単に説明します。

□関東式結納

 結納に際して、新郎側と新婦側の立場が同格であり、ゆえにお互いが同格の結納品を用意し“取り交わす”スタイルが関東式です。新婦側は、新郎側から贈られた結納金の半額を、新郎側への結納金として贈るのがベターとされています。関東式は武家の影響もあってか、儀式も結納品も、関西式や九州式と比べるとシンプルかつ質素です。

 代表的な結納品は、「目録(もくろく)」「長熨斗(ながのし)」「金包包(きんぽうづつみ)」「勝男節/松魚節(かつおぶし)」「寿留女/寿留米(するめ)」「子生婦(こんぶ)」「友志良賀/友白髪(ともしらが)」「末広/寿恵広(すえひろ)」「家内喜多留(やなぎだる)」です。

 該当地域は、北海道、東北地方、関東地方、新潟県、長野県、静岡県などが挙げられます。

□関西式結納

 シンプルで質素な関東式とは対照的に、公家の流れを受けて豪華な結納を行うのが関西式です。また、結納で新郎側と新婦側の立場が同格な関東とは違い、関西式の結納は、新郎側が新婦側に“納める”ものというスタイルとなっています。結納当日、結納品を贈るのは新郎側のみ、新婦側は受書を渡すのみで結納品は贈りません。そして新婦側は後日、結納時に送られた金額の1割ほどの金額を新郎側の自宅に返礼するのがしきたりとなっています。もちろん結納品も関東と比べて豪華で、15品目、23品目そろえる地域もあります。

 代表的な結納品は、「小袖料(こそでりょう)」「長熨斗(ながのし)」「鶴飾り(つるかざり)」「松魚料(まつうおりょう)」「寿留米/寿留女(するめ)」「子生婦(こんぶ)」「末広/寿恵広(すえひろ)」「家内喜多留(やなぎだる)」「結美輪(ゆびわ)」「高砂人形(たかさごにんぎょう)」が挙げられます。

 該当地域は、近畿地方、東海地方、中国地方、四国地方、北陸地方です。

□九州式結納

 関西以上に結納を重んじる文化があるのが九州です。関西式結納スタイルに加えて、結納前に新郎側家族が新婦側家族に、お茶、清酒、真鯛などを持参する習慣の地域もあります。

 ちなみに沖縄県には、独自の結納文化があり、満潮の時期に新郎側が結納商品、結納料理、天ぷらを持参して新婦宅を訪問します。

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