■現代の「結納」事情

 現代では、結納を行う場合は「略式結納」が圧倒的多数を占めていますし、結納自体行わず食事会だけで済ませるケースも珍しくないものとなりました。「略式結納」は、「正式結納」と比べてコストが低く抑えられ、準備にさほど時間もかからず、堅苦しさもありません。当事者たちも親たちも、「儀式」というより「両家の顔合わせ」や「両家の親睦を深める機会」といった感覚に近いのです。

 略式結納を行う場所としては、新婦側の自宅、ホテル、レストラン、料亭などが挙げられます。

 新婦側の自宅で行う場合、費用や時間をさほど気にせずにアットホームな雰囲気で結納が行える反面、掃除や整理整頓をしたり料理を手配したりといった準備が負担になってしまう面もあります。

 ホテル、レストラン、料亭の一室を借りて行う場合、もちろん場所の選定、事前予約、日程調整などは必要であり、一定の費用が求められますが、自宅で行うよりも準備の負担は軽くなります。とくにホテルでは「結納プラン」をもうけているところもあり、当日の流れや段取り、用意するもの、ふさわしい服装など、スタッフが丁寧に導いてくれるとあって、重宝されています。最近は、結納の知識を持ち合わせていない人も多く、専門のスタッフが導いてくれるのは心強くて安心です。

●結納金の相場は?

 最近は、50~100万円が相場です。略式とはいえ、関東では贈られた側が半額を返す「半返し」、関西では1割を返すしきたりは残っているのですが、その点についても両家で事前に話し合って決めておくのがおすすめです。

●両家でしきたりが違うときは?

 今も昔も“結納あるある”の代表格なのが、両家におけるしきたりの違いです。昔は、新郎側のしきたりに合わせるべきだとされていましたが、最近ではこだわりが強い側に合わせるケースもあります。また、地元の同級生など“同じ地域”の者と結婚する場合であっても、必ずしも両家のしきたりが同じとは限りません。相手の親は別の地域出身で、出身地のしきたりにこだわりを持っている可能性もあります。トラブルを避けるためにも、結納前に両家の話し合いの場をもうけるようにしましょう。

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