■アメリカのマイナーリーグを買収!?

 また、野球一筋だった星野氏には壮大な夢もあったという。「アメリカのマイナーリーグを買収しようとしていたんだよ。日本に埋もれている若い選手の受け皿にしたかったみたいだね」

 日本ではドラフトにかからなければ、なかなかプロ野球選手になれない。だが、ドラフトで指名されなかったり、出場機会に恵まれず球界を去った才能あふれる野球選手は大勢いる。そうした若い選手をアメリカのマイナーリーグの球団に入団させ、武者修行させようとしていたという。「仙ちゃんの夢に俺をはじめ、多くの人が協力しようと出資を検討していたんだ。仙ちゃんも7~8億円を出すと言っていて、本気も本気。日本のプロ野球を誰よりも愛していたんだ」

 日本人中心のマイナー球団が誕生すれば、プロ野球選手になりたい高校生や大学生の門戸も広がる。ただ、この夢は叶わぬまま旅立ってしまった。

 それほどプロ野球のことを考えていた星野氏だけに、「長嶋さんや王さんに対しては“優しすぎる!”と言っていたね。お二人とも球界を変えられるだけの影響力があるのに、周りに歩調を合わせすぎて、今のプロ野球の在り方に何一つ文句を言わない。仙ちゃんは、そのことに一種の憤りがあったんだろうね」

 長嶋氏や王氏には、もっと球界のために頑張ってほしい。星野仙一だからこそ言える言葉ではないだろうか。「仙ちゃんみたいな監督はもう出てこないんじゃないかな。監督としての素質はもちろん、政治力もあり、人脈も広い。そんじょそこらの“野球人”ではなかったからね」

 惜しい人を亡くしたと改めて思うが、高山氏は最後に、こう振り返った。「それでもまあ……一番いいときに死ねたのかもしれない。死ぬときまで楽天球団の副会長として、ずっと大好きな野球に関わっていられたんだからね」

 生涯、野球に情熱を捧げて、激しく生き抜いた闘将の70年。「本当の星野仙一」は、どこまでも格好いいヒーローであった。

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