赤ちゃんを無事に出産した後のママの身体は急激に回復するわけではなく、むしろ産後の体はデリケートでダメージだらけである。とりわけ産後6~8週間は「産褥期(さんじょくき)」とも呼ばれ、ママが安静に過ごすべき期間とされている。産後のママの過ごし方と、注意点について、解説したい。
■産褥期とは?
「産褥期(さんじょくき)」とは、赤ちゃんを産んだ後、女性の身体が妊娠前の状態に回復するまでの期間のことである。産褥期の期間は、通常分娩後6~8週間で、この間は布団を敷いたままにして安静に過ごすことが望ましい。どんなに健康な女性であっても、妊娠・出産は身体的にも精神的にも大きな負担がかかるものであり、また無事に出産を終えてからも即座に妊娠前の体調に戻れるわけではなく、だからこそ産褥期にしっかり体を休めることが大切だ。体が回復し、布団を片づけて通常の生活に戻ることを「床上げ(とこあげ)」という。
ちなみに産褥期の「褥」は、「褥(しとね)」とも読み、「寝たり座ったりするときの敷物。布団」という意味である。
■産褥期の体調とトラブルについて
では、産褥期の女性の体にはどのような症状が現れやすいのだろうか。
●悪露(おろ)
産褥期、とりわけ分娩後1~2週間の間は、「悪露(おろ)」が出る。悪露というのは、分娩後の子宮内から排出される、粘液や血液が混じった分泌物のことである。分娩直後は赤黒い色の悪露が多く出るが、分娩後3~8日で赤褐色になり量も減っていき、やがて黄色や白色とへと変化していくといわれている。
分娩後に産褥熱が続いたり、悪露が長引いているときは、「子宮復古不全」の可能性もあるので、医師へ相談をしよう。
●子宮の収縮と、それに伴う後陣痛
分娩後は、胎児を抱えて大きく広がっていた子宮が急速に収縮していく。子宮は通常約7センチで約50グラムだが、妊娠すると胎児の成長とともに徐々に大きくなり、出産直前の子宮は通常時の6倍ほどにもなる。そのように大きく広がった子宮が、分娩後元の大きさに戻ろうとするわけだが、その間に下腹部に痛みを感じることが多く、これを「後陣痛」(こうじんつう)と呼ぶ。後陣痛のピークは分娩後約1週間、子宮の大きさが元に戻るのは分娩後1か月~1か月半といわれている。