●会陰の痛み

 分娩時、赤ちゃんが外に出やすいよう会陰切開をしたり、あるいは切開する前に会陰が裂けたりすることがある。そういった場合は、分娩後に会陰の傷口を縫合し退院前に抜糸するのだが、しばらくは座るときなどに痛みを伴いがち。分娩後1~2週間で痛みは和らぎ、傷口は約1か月で治癒する。

●腰痛

 妊娠・出産によって腰にも大きな負担がかかったり、骨盤が歪んだりして、分娩後も腰痛が強く出ることがある。だから産褥期のあいだは、重いものを持ち上げるなど腰に負担のかかる動作は、できるだけ控えたい。痛みが強いときは、医師や柔道整復師の診察を受けることが望ましい。

●バストトップのトラブル

 分娩後、いよいよはじまる授乳指導。が、生まれたばかりの赤ちゃんは思いのほか強い力でバストトップに吸いつくもので、そのためママのバストトップは強い痛みを伴うほか、ひび割れが起こったり出血があったりといったトラブルを抱えることがある。対処法としては乳頭保護器や乳頭保護クリームなどがあり、産院で販売されていることもあるので、助産師や看護師に相談してみるとよい。赤ちゃんが授乳に慣れ、上手な吸い方を習得していくにつれて痛みはなくなりトラブルも減る。

●乳腺炎

 授乳トラブルの代表格ともいえるのが、母乳を運ぶ器官である乳腺に炎症が起こる「乳腺炎(にゅうせんえん)」。症状には、乳房や胸に現れるものと、風邪の症状によく似たものがある。

・乳房や胸に出る症状……痛み、張り、しこり、熱感、硬くなる、黄色の母乳が出る、など

・風邪のような症状……頭痛、発熱、関節痛、寒気、など

「乳腺炎かな?」と感じたときは、まずは赤ちゃんにしっかりと母乳を飲んでもらい、それでも症状が治まらなければ病院の診察を受けて指示を仰ぎたい。その際はもちろん、授乳中の身であることを伝えること。また、助産師の「授乳マッサージ」を試してみてもいい。

 乳腺炎には、母乳が溜まることによって生じる「急性うっ滞性乳腺炎」(きゅうせいうったいせいにゅうせんえん)と、急性うっ滞性乳腺炎が半日~1日続くことで細菌感染が生じる「急性化膿性乳腺炎」(きゅうせいかのうせいにゅうせんえん)とがある。急性化膿性乳腺炎になると症状も強くなってしまうので、急性うっ滞性乳腺炎の段階で適切な処置を行うことが大切である。

 このほかにも、尿漏れや目の疲れ、マタニティブルーなど産褥期の心身にはトラブルが起こりやすい。トラブルを最小限に抑えるにはやはり安静に過ごすことが求められる。

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