●酵母菌

「酵母菌(こうぼきん)」は、出芽や分裂によって増殖する、単細胞の菌類の総称。多くは糖分を分解して二酸化炭素とアルコールを作り出す。「イースト」とも呼ばれている。酵母菌は、さまざまなところに生息しており、野菜の表面や空気中や土の中などが挙げられる。酵母菌によって作られる発酵食品には、「パン」「ワイン」「日本酒」「ビール」「しょうゆ」「味噌」「いかの塩辛」など。酵母菌に期待されている効果としては、高血圧の予防、便秘の解消などが挙げられる。

●納豆菌

「納豆菌(なっとうきん)」は、その名前のとおり「納豆」を作る菌であり、枯草菌(こそうきん)の一種である。納豆菌は稲わらに生息しており、日本産の稲わら1本につき1000万個ほどの納豆菌が付着しているともいわれている。納豆菌によって作られる発酵食品はもちろん「納豆」であり、「納豆」は蒸された大豆に納豆菌を付着させることによって作り出される。

 納豆菌によって作られた「納豆」には、納豆のみに含まれている酵素成分「ナットウキナーゼ」によって、血液をサラサラにする効果、腸内環境を整える効果、動脈硬化を予防する効果、骨粗しょう症を予防する効果が期待できるとされている。

●麹菌

「麹菌」(こうじきん)は、食品を発酵させるのに有用な「コウジカビ」などの微生物を繁殖させたものである。「コウジカビ」は、でんぷん質やたんぱく質を分解する働きを持つ酵素を作って放出させるほか、アミノ酸やグルコースを生成させて元の食材にはない甘みやうま味を作る。

 麹菌は、米、麦、大豆など穀物が加熱されることで繁殖する。米からできた麹菌を「米麹(こめこうじ)」、餅からできた麹菌を「餅麹(もちこうじ)」、麦からできた麹菌を「麦麹(むぎこうじ)」、大豆からできた麹菌を「豆麹(まめこうじ)」と呼ぶ。

 麹菌によって作られる発酵食品は、「味噌」「しょうゆ」「食用酢」「塩麹」「漬け物」「焼酎」「泡盛」などが挙げられる。麹菌に期待されている効果としては、消化補助、腸内環境の改善、便秘の改善などがある。

●酢酸菌

「酢酸菌」(さくさんきん)は、エタノールを酢酸に変える働きを持った菌の総称である。酢酸菌によって作られる発酵食品もさまざまである。一番有名なのは、酒を酢酸発酵させて作られる「酢」。そのほかには、「日本酒」「ワイン」「ワインビネガー」「カスピ海ヨーグルト」「紅茶キノコ」など。またココナッツミルクを発酵させて作られる「ナタデココ」も酢酸菌の働きが欠かせない。

 酢酸菌に期待されている効果としては、高血圧・高血糖・高コレステロールの予防、内臓脂肪を減らすことなどが挙げられる。また、身体の細胞の中に入った酢酸は「クエン酸」に変わることから、疲労回復の効果も期待されている。

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