ストーブリーグ真っ只中の1月17日、球界を震撼させる事態が起こった。「日本ハムから中日に移籍した大野奨太(31)の人的補償として、日ハム側が岩瀬仁紀(43)を指名したところ、岩瀬が拒否して、金銭で落ち着いた、と東京スポーツが報じたんです。思わず目が点になりましたよ」(スポーツ紙記者)
岩瀬といえば、言わずと知れた中日の大投手。鉄壁の守護神として長らく活躍し、現在はコーチも兼任する“次期監督”の有力候補でもある。「調べてみると、これは完全なる中日の“手落ち”。中日が日ハムに提出した28人前後のプロテクト(優先保有)選手リストの中に、岩瀬が入っていなかったというんです」(前同)
レジェンドに対する扱いではない気もするが、実は、岩瀬と同じくコーチを兼任する“打の功労者”荒木雅博(40)もリストに入っていなかったという。「コーチを兼任する投打の顔を“誰も寄こせとは言わないだろう”と、球団は油断していたんでしょう。しかし、そこは球界一ビジネスライクで知られる日ハムのこと。“リストにないならもらうよ”ときたわけです。日ハムの一部職員からは“マナー違反では”という声が上がったようですが、吉村浩GM、栗山監督が協議してゴーを出したとか……」(専門誌記者)
■“平成の怪物”松坂大輔も獲得した中日だが…
中日としては痛恨のミスであるが、それを岩瀬が“拒否”したというのもまた、前代未聞の事態だ。「“日ハムに行くなら引退する”と、自らの立場を盾に拒否したそうですが、球団のミスであろうと、ルールはルール。本来はありえない話ですよ。不本意な人的補償で移籍した選手は、これまで無数にいるわけで、“岩瀬さんだけ許されていいのか”と、一部のスタッフや選手からは不満の声が漏れてきています」(球界関係者)
中日OBも呆れ返る。「球団幹部が平謝りで岩瀬に話したそうだが、取りつく島なし。そもそも、球団は大功労者の岩瀬に“引退は自分で決めていい”と特権を与えているんだ。だから、“じゃあ、今”と言われたら言い返せんだろう。日ハムがゴネないでくれたからいいものの、球団の判断ミスで悪しき慣例を作り、岩瀬自身の株も下げてしまった。お粗末だよ」
23日には“平成の怪物”松坂大輔も獲得した中日。せめて、そちらは“凡ミス”でないことを願うが……。