●「できなかったこと」よりも「できたこと」に目を向けて、褒める

 学校や社会で通用する人間に育てなければいけないという責任感ゆえ、親はつい、子どもの「なってない部分」「できていないこと」ばかりに目が向かい、改善を図ろうとしてしまう。もちろん注意すべきことは注意しなければならないが、子どもは日々成長していく。

 親は子どもの未熟な部分だけではなく、子どもの長所や成長したところ、数日前や数か月前よりも「できるようになったこと」を努力してでも見つけ、しっかり褒めよう。褒められることによって、子どもは自信が持てるようになるし、ちゃんと見てくれているという安心感や信頼感も得られる。子どもの長所や成長したところを見つけて褒めることは、子どもをしつけるにあたって必要不可欠ともいえる。

●大声で怒鳴らない

 家の中であれ外であれ、子どもをしつけるときに大声で怒鳴りつけてしまうのは威嚇になってしまうので、できるだけ避けたい。威嚇された子どもは、恐怖心を植えつけられ、自尊心も踏みにじられてしまう。また、思い通りにならない相手に対しては怒鳴ってもいい、大きな声を出したほうが勝ち、と子どもが学習してしまうことも懸念される。

 キレそう、怒鳴りそうになったときに「いったん深呼吸」をする習慣をつけ、間をおいて、静かな声でゆっくり子どもに言い聞かせてみよう。ガツンと一喝するより、冷静沈着なトーンでたしなめられたほうが、案外、子どもの心には残りやすい。

●人格を否定しない

 しつけをする際は、あくまでも「そのときのテーマ」のみに焦点を絞って話をするべきである。たとえば子どものよくない行為を注意するのであれば、「よくない行為」だけに対して叱ればよいのであって、そこで話を拡大させ「だからあなたはダメなの」「そんな子は嫌われる」「あなたみたいな子をママは育てたくない」などと子どもの人格や人間性をまるごと否定して責め立てる必要はない。そのように責められた子どもがふてくされたり、意欲を減退させたりするのは自明である。

 そもそも、焦点がずれたりあやふやになったりすると、子どもは何に対して叱られているのか分からなくなってしまい、結局親の一番伝えたいことが伝わらなくなってしまう。ものはついでといわんばかりに「この前のファミレスでも……」などと過去の話を引っ張り出して叱るのも禁忌である。

●体罰は良い効果をもたらさない

「しつけ」の手段としても体罰は許されない。子どもは体罰を受けることによって恐怖心や反発心を抱き、「叩かれた」「殴られた」ことだけが印象に残り、親の「しつけ」は子どもに伝わらない。たとえ直後は親の言うことに従うようになったとしても、親に対する安心感や信頼感が失せ、思春期以降に関係が悪化する要因にもなり得る。また、相手を支配するための手段として暴力を振るうというパターンを、子どもが学習してしまうことも懸念される。

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