■雑なタレントゲーム文化も

 ファミコン時代の『たけしの挑戦状』『さんまの名探偵』に代表される、“名前さえ使えればいい”という雑なタレントゲーム文化が、スーファミ時代もしばらく残ってたんだよね。

 Jリーグブームの最中に発売された『ジーコサッカー』とかも、その類ですよね。ジーコの名前を使ってるだけあって鹿島アントラーズだけは選手が実名だけど、他のクラブからは許可が下りなかったみたいで、結局、Jリーグじゃなくて架空の世界各国代表と鹿島がトーナメントを戦うという無茶な設定(笑)。

 W杯に、なぜか鹿島が参加するようなものだ(笑)。選手の操作もできないし、クソゲーすぎて当時の中古市場に100円とかで大量に流出したんですよね。それを、ある会社が大量に買い漁って、ROMの中身を書き換えた18禁ゲームが出回ったの、覚えてます?

 ありましたね、非公認ゲーム。

 『ジーコサッカー』のカセットに、白黒でタイトル書いただけの、しょぼい紙シールを上から貼ってましたね(笑)。

■“レトロゲーム”ブームの始まり

 当時は「ゲリラ作品って、やべえ!」という感じだったけど、2011年にスーファミの特許が切れて、一応は本体を含めて誰でも作れるようになった。それで、いろんな会社がスーファミソフトがプレイできるマシン、いわゆる“互換機”を作るようになって、たくさんの人がまた中古のスーファミソフトを売買し始めたんだよね。

 “レトロゲーム”ブームの始まりですね。飲食をメインと言いつつゲームでお客さんを呼ぶ、うちみたいな店にも、マニア以外のお客が来るようになって。

 ですよね。どんなゲームが喜ばれますか?

 男女のグループやカップルだと、『スーパーボンバーマン』なんかが人気ですね。あとは『マリオカート』とか『星のカービィ』あたり。男2人だと『スト2』とか、たまに『テトリス』を黙々とやってる、すごいテクニックのマニア2人組なんかもいる(笑)。

 やっぱりアクションが多いですね。『桃太郎電鉄』シリーズなんかだと、店の回転率が落ちそう(笑)。

 あと、意外と『マリオペイント』です。

 おおお! ハエたたきゲームやりたい!

 92年の発売なんですけど、僕らの世代だと、あれでマウスというものを知った人、けっこう多いですね。

 確かに。

 まあ、そういう“懐かし需要”は予測もできたけど、まさか21世紀に新作ソフトが出たり、『アイアンコマンドー』『薔薇野郎』みたいなマニアックな作品が復刻されるとは思わなかったですよ。

 この辺の再発売って、全部同じ会社なんですよね。新作『ザ・ダークネス~』も同じ。開発は日本だけど、発売元は香港の会社でね。「SFC/SFC互換機用」と注意書きがされているし、互換機を持ってる人も増えたから「売れる!」と思ったのかな。

 『ザ・ダークネス~』プレイしました?

 やりました。まあ、クソゲーとまでは言いませんが、ほぼ「高い話のネタ」って感じですね(笑)。

 でも、作ってる人、楽しかっただろうなあ(笑)。

 当時子どもだった我々みたいな30代~40代の人たちが、お金もできて好きなソフトを買い放題になったり、それこそ「作る側」に回ってることが、こうしたリバイバルの背景ですよね。

 意外と20代くらいのお客さんもいますよ。ただ、皆さん、同じように「今のゲームはリアルで複雑すぎるけど、スーファミは情報量が少ないからホッとする」とは言われますね。

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