『わろてんか』、広瀬アリスと松尾諭の名演技は「恋に落ちた」せい!?の画像
『わろてんか』、広瀬アリスと松尾諭の名演技は「恋に落ちた」せい!?の画像

 藤吉(松坂桃李/29)が亡き後、てん(葵わかな/19)が北村笑店の社長として活躍’する姿が描かれ、NHKの連続テレビ小説『わろてんか』はなかなか好調だ。成田凌(24)が演じる隼也という新キャラクターも登場し、終盤に向けていよいよ物語が加速してきたが、先週注目されたのは、なんといっても“ミスリリコ・アンド・シロー”の二人だろう。

 今回は2月10日土曜日の放送回を振り返ってみよう。てんが発案した“しゃべらん漫才”披露の日を迎え、隼也とともに朝から気合を入れるてん。出番を待つリリコ(広瀬アリス/23)と四郎(松尾諭/42)のお笑いコンビ、ミスリリコ・アンド・シローのところに万城目(藤井隆/45)が激励に訪れ、いよいよ緊張が高まる。高座に上がった二人は、リリコのマシンガントークに四郎があたふたするという新感覚の漫才を繰り広げ、お客たちから見事に笑いをとった。風鳥亭の一同からも、その漫才を絶賛され、リリコとシローは涙を流しながら成功を喜ぶ。その日、てんは仏壇を拝んで藤吉と喜びを分かち合うと、夢の中に再び藤吉が現れ、てんの成長に胸をなでおろすのだった

 ミスリリコ・アンド・シローの“しゃべらん漫才”は見事だったが、実はこの漫才コンビは、戦前に活躍した“ミスワカナ・玉松一郎”がモデルといわれる。夫婦漫才の天才といわれた人物を、広瀬アリスと松尾諭が見事現代によみがえらせたかっこうだ。

■松尾諭との関係を築くため、広瀬アリスのとった行動は?

 NHKの公式ページに公開されている松尾のインタビューによると、二人の距離が縮まり、お笑いコンビとしての芝居が成功した背景には、広瀬の気遣いがあったという。漫才指導の先生から、コンビたるもの“立ち位置”を常に意識するように言われた広瀬と松尾は、リハーサル室でもコンビの立ち位置で座り、関係性を築いていったらしい。インタビューで松尾は、リハーサル室に入ったとき「アリスちゃんはちゃんと自分の左の席を僕のために空けていてくれたんです」と明かし、「キュンとしました」と答えている。恋するほど深い感情を持てたことが、あの絶妙なかけあいにつながっていたというわけだ。

 もちろん『ひよっこ』に続いて、連続の朝ドラ出演を決めた松尾諭の芝居も光っていた。大ヒットした2007年のドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ系)で知名度を上げ、その後も映画『進撃の巨人』、『シン・ゴジラ』など、話題作に出演し、存在感を示した個性派俳優だが、実は2010年下半期の朝ドラ『てっぱん』にも出演していた。朝ドラは約半年と長期にわたる放送だけに、“脇を固める”人の芝居が重要になる。だからこそ、松尾のような名バイプレーヤーの存在は必須なのだ。シローの漫才を見て、あらためてそんなことを痛感させられた回だった。(半澤則吉)

朝ドラ批評家半澤の朝ドラブログ
http://blog.livedoor.jp/hanzawanoriyoshi/

本日の新着記事を読む