日本列島「火山&地震」マップ、次はここが危ない!の画像
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 眠っていた山が突然、火を噴く。この爆発が物語ることとは何なのか!? マグマの動きをいち早く察知したい。

 1月23日に発生した草津白根山(群馬県草津町)の噴火は死者1人、負傷者11人を出す大惨事となった。改めて火山の猛威、噴火災害の恐ろしさを再認識した人も多かったはずだ。「今回、噴火したのは草津白根山にある三つの峰のうちの一つ、本白根山です。草津白根山は気象庁が24時間態勢で観測する全国50火山に含まれていますが、監視カメラや地震計は、噴火活動が活発な白根山に向けられており、本白根山はノーマークでした。それだけに、気象庁関係者や地震学者が受けたショックは大きかったんです」(全国紙気象庁担当記者)

 噴火したのは本白根山の鏡池付近。本白根山は約3000年前に溶岩流を伴う噴火があったが、その後は平穏期が続いていたため、「研究者にとっても突然の噴火は想定外だった」(前同)と言うのだ。「今回の噴火でハッキリしたのは、火山は前触れなしに、いつ噴火してもおかしくないということ。現在は使われない用語ですが、かつていわれた休火山、死火山であっても、まったく油断はできないということです」(科学雑誌ライター)

 噴火が起きたのは午前9時59分。現場は、噴き上がる黒煙と頭上から降り注ぐ噴石で、あっという間に見通しが効かなくなったという。噴石と火山灰は白いゲレンデを黒く染め、泥濘化したためにソリも使えず、スノーモービルでの移動も困難を極めた。そんな状況の中、直径数十センチ~数メートルの噴石が雨あられと降ってくるのだから、たまったものではない。「噴火が午前中だったことと、ロープウェイと駅の電源が確保されていたのは、不幸中の幸いでした。そうでなければ被害はさらに拡大していた可能性が高い。実際、取り残されたスキー客約80人が下山するまでに約8時間かかりましたからね」(前出の全国紙記者)

 気象庁は、今後も噴火する可能性があるとして警戒を呼びかけた。同時に、火山灰を分析した結果「今回は水蒸気噴火だった可能性が高い」と発表。火山の噴火には地下のマグマが火口から噴出する「マグマ噴火」と、マグマによって熱せられた地下水が沸騰して爆発する「水蒸気噴火」の2種類あるが、地中のマグマが大きく関わっている点は同じだ。「比較的短時間の噴火だったとはいえ、火口付近では大木が根こそぎになって宙を舞う姿がカメラに捉えられました。圧倒的な破壊力です」(前同)

■蔵王山でも火山性微動が観測

 また、草津白根山が噴火して間もなく、1月28日と30日には宮城県と山形県にまたがる蔵王山で火山性微動が観測された。気象庁は30日、蔵王山を「噴火警戒レベル2」(火口周辺規制)に引き上げている。気象庁は日本全国の111の山を「活火山」としており、蔵王山もそれに含まれているのだが、そこで気になるのは、火山活動と地震に密接な関係があることだろう。「特に2011年3月11日の東日本大震災以後、全国的に火山が活発化しているのが気がかりです。活発化とは、火山における地震活動が増えることを指しているんですが、気象庁によれば、その数は20に上るそうです」(同)

 地震学者で琉球大学名誉教授の木村政昭氏が言う。「地震も火山活動もプレートの圧力を受けて起こりますからね。沈み込む海洋プレートの圧力が内陸の地殻に影響すると地震になり、火山の下のマグマ溜まりを刺激すると噴火になる。原理的には、地震も噴火も同じなんです」

 地球は厚さ約100キロに及ぶ十数枚のプレート(岩盤)に覆われている。プレートは大陸を乗せている大陸プレートと海底に存在する海洋プレートの2つに分けられるが、海洋プレートは大陸プレートより重いため、大陸プレートの下に沈み込む性質があるという。「十数枚のプレートは毎年数センチの単位で動いており、そのせめぎ合いが地震や火山の噴火の原因となっているんです」(科学雑誌記者)

 日本列島は、新潟・長野・静岡を貫く構造線を境に、東側は北米プレート、西側はユーラシアプレートにまたがる形で乗っている。さらに列島のすぐ近くに太平洋プレートとフィリピン海プレートが沈み込んでいる。これが、日本列島に地震と火山活動が多い理由だ。

■富士山も自然災害が!?

 多少の誤差はあれど、以前から「草津白根山は2020年~2030年の間に噴火する」と予見していた前出の木村氏は、次に警戒するべきなのは「富士山の噴火と伊豆諸島南側を震源とする地震」だと話し、次のように続ける。「日本列島を大きく見れば、草津白根山の南に位置するのが富士山であり、箱根の山々ということになりますね。今回、内陸の草津で噴火があったということは、簡単に言うと、そのエネルギーが太平洋側にストレスを与えたことになる」

 また、プレートの動きに着目すれば、「日本列島は東側にある太平洋プレートと伊豆諸島の西側にあるフィリピン海プレートが海底で摩擦を起こすことが、地震や火山噴火の原因になる。伊豆沖で地震が起きると、それが富士山噴火のエネルギーになりえると思いますよ」(前同)

 7年前の東日本大震災。これは太平洋プレートと北米プレートの摩擦によって生じたものだといわれている。それが反対隣のプレートの境目にストレスを与えたのだとすれば、伊豆沖地震、富士山の順番で自然災害がもたらされる可能性は高いと木村氏は予測する。「富士山は、この10年あまりで噴気ガスと火山灰が観測されています。注目する学者は少ないですが、富士山が永遠に平穏な山であると思わないほうがいい。また、伊豆沖の地震は富士山噴火の引き金になるだけでなく、津波の警戒も必要です。津波が来ないとされる東京湾も安心はできないし、相模湾は特に厳重な警戒を怠らないようにしていただきたいですね」

 大地震と火山活動が連動していることを示す実例は、いくらでもある。最も有名なのは他ならぬ富士山の宝永の大噴火だ。1707年10月には推定M(マグニチュード)8.6の宝永大地震があり、同年12月、富士山が大爆発。大量の火山灰を関東平野に積もらせたことが記録に残っている。「富士山は896年にも貞観噴火と呼ばれる大規模な噴火を起こしています。このときは、推定14億トンもの溶岩流が噴出して、一つの湖を現在の精進湖と西湖に分断しています」(前出の科学雑誌記者)

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