米データ会社グレースノートは、平昌冬季五輪での日本の順位を12位と予想している。1位ドイツ、2位ノルウェー、3位米国、以下フランス、カナダ、オランダ、オーストリア、韓国、中国、スイス、スウェーデン、そして日本と続く。五輪憲章には〈五輪競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない〉と謳われている。にもかかわらず、五輪が始まるとメディアは金メダルの獲得個数順に国・地域を並べる。極端な話、銅100個よりも銀1個、銀100個よりも金1個の方が上と見なされるのだ。私はこれを“金本位制”と呼んでいる。

 グレースノートは日本のメダル獲得予想数を14個としている。これは、日本にとっては長野大会の10個(金5、銀1、銅4)を上回る史上最多だ。それでも12位と振るわないのは金メダル予想が3個と少ないからだ。日本は1928年のサンモリッツ大会から冬季五輪に出場している。これまでの最高順位は長野大会の7位。スキージャンプラージヒル(船木和喜)、同団体(岡部孝信、斉藤浩哉、原田雅彦、船木)、フリースタイルスキーモーグル(里谷多英)、スピードスケート500メートル(清水宏保)、ショートトラック500メートル(西谷岳文)と5つの金メダルがモノを言った。つまり上位を狙うには金メダルを上積みするしかないのだ。

■オリンピックで兄弟や姉妹の金メダルは日本ではひとつもない

 グレースノートをはじめ、ほとんどのデータ会社が“鉄板”と見なしているのがチームパシュートである。バンクーバー大会スピードスケート500メートル銀メダリストの長島圭一郎も「転ばない限り金メダルは堅い」と太鼓判を押していた。チームには高木菜那、美帆姉妹がいる。五輪で兄弟や姉妹が金メダルに輝いた例は、日本ではひとつもない。重量挙げの三宅兄弟は兄・義信が東京、メキシコの金だったのに対し弟・義行はメキシコの銅。レスリングの伊調姉妹は姉・千春がアテネ、北京銀なのに対し、妹・馨はアテネからリオまで4大会連続で制した。高木姉妹の快挙はなるのか。

本日の新着記事を読む