「世界軍事オリンピック2018」禁断ランキングの画像
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 故事に言う。――百年兵馬を養うはこの一日のためなり。各国の軍隊が誇る“戦技”をガチンコ比較する!

 2月9日に開幕した平昌五輪。開会式では、急遽、参加を表明した北朝鮮選手団と韓国選手団が合同で入場し、南北融和ムードを演出してみせた。しかし、これが“見せかけの平和”であると断じる向きは多い。「北朝鮮には、韓国の顔を立てることで日米韓の同盟関係に揺さぶりをかけ、同時に経済制裁を緩和させる目的があるんです。ソウルを火の海にできる長射程の自走砲や、対米兵器の切り札である長距離弾道ミサイル(ICBM)を保有する北朝鮮だけに、朝鮮半島情勢は、五輪が終われば再び緊張状態に戻る可能性が高いですね」(通信社記者)

 戦争とは外交の延長である――と、プロイセンの軍学者・クラウゼビッツは言った。そのため、各国は自国の権益や領土、国民を守るために、多種多様な軍隊を運用している。「米国のような“覇権国家”は、一国で世界を相手にしても戦闘に勝利できる能力を備えていますが、これは例外でしょう。一般に、“地域の盟主”を自認する国家は、精強な軍事力を誇る国もありますが、その他の多くの国々は、欧州に代表されるように、集団安全保障の枠組みに参加していることが多く、一国としての軍事力は限定的な場合が多いですね」(防衛省関係者)

 現代世界では、領土拡張を目的とした総力戦が勃発する可能性は極めて低いとされる。その代わり、国境をめぐる争いや、シーレーンの確保、対テロ組織との戦闘などといった局面で、“限定的な軍事力”が必要とされることが多い。「自衛隊の総兵力は約24.5万人ですが、軍事強国とされるフランスやイギリスでも、総兵力はそれぞれ、15万人、20万人程度。一方で、これらの国は核兵器と、それを運用するSLBM(潜水艦発射式弾道ミサイル)を運用しています。そして、こうした“核抑止力”が外交上、非常に大きなアドバンテージになっているわけです」(前同)

 北朝鮮も、この“核のカード”を手に入れたわけだ。そうは言っても、実際に核保有国が核兵器を使用することは考えにくい。したがって、軍事力に秀でた国というのは「限定された紛争や戦闘で、優れた装備と高い士気の隊員が最大限の戦果を挙げられる」ことが条件となる。これに伴い、少数精鋭&ハイテク装備化がトレンドとなっている。「世界全体の軍事予算は約184兆円ですが、米中でその半分を占めます。そのあと、ロシア、サウジアラビア、インド、フランス、イギリスと続いて、日本は第8位、次いでドイツ、韓国の順です」(軍事ジャーナリストの井上和彦氏)

 当然、多額の軍事費を計上しているこれらの国々は軍事強国であると言えるわけだが、軍事費の順位が即、戦力の優劣にならないのが興味深いところ。以下、平昌五輪に絡め「戦車戦闘」「戦闘機戦闘」「海上戦闘」「特殊部隊」の4部門で、各国の“戦技”の優劣を論じてみたい(文末に参考用の総合戦力の表と合せて、まとめて結果を掲載)。

■陸上自衛隊が銅メダルの戦車戦闘部門

 まずは、陸の王様“鉄牛”の異名を取る戦車戦闘から。「金メダルに輝くのは米国でしょう。米軍のM1エイブラムス戦車の実績は抜群で、湾岸戦争、イラク戦争などの実戦で、その強さを証明しています」(軍事ジャーナリストの竹内修氏)

 銀はロシア。かつての戦車大国も、冷戦期は西側に比べて主力戦車の性能が劣っていたが、最新のT-14アルマータ戦車はステルス性にも配慮され、市街地戦でも活躍できるタイプに。銅メダルは、10式戦車を擁する陸上自衛隊が獲得。「10式は世界最強戦車ともいわれています。高速で蛇行走行しながら、百発百中で砲弾を命中させるスラローム射撃は世界一。実戦経験がないため銅メダル止まりですが、その実、米軍のエイブラムスにも負けないはずです」(軍事ライターの黒鉦英夫氏)

 4位はイスラエル。「中東戦争やパレスチナ紛争など、実戦経験が豊富なうえ、ほぼ負け知らず。弱点は現在の主力戦車メルカバは、対ゲリラ・テロ戦を重視して開発されたため、純粋な戦車同士の戦いになるとやや不安が残ることくらいです」(前出の竹内氏)

 5位にはドイツが入る。「2016年に行われたNATO加盟国が参加する戦車の戦技大会では、ドイツ軍が優勝しました。主力のレオパルト2戦車は走行性能も良好だし、命中率も高く、世界各国に輸出されているベストセラー戦車です」(軍事フォトジャーナリストの笹川英夫氏)

 ちなみに、冬季五輪のホスト国である韓国が開発した最新のK-2戦車も、前評判は高かったが、「エンジンだけ高出力にすると、ミッションや車体とのバランスが悪いため、不具合が多発する」(前同)とされ、見かけ倒しだったようだ。

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