エンゼルスに移籍した大谷翔平が上々の仕上がりを見せている。2月17日(日本時間18日)には初めて実戦形式のマウンドに上がり、マイナーリーグの2選手を手玉にとった。肩が温まってくれば、いよいよ本領発揮だろう。周知のように大谷のMAXは165キロ。2016年10月16日、CSファイナルステージの福岡ソフトバンク戦で記録したものだ。これは今なお日本球界最速記録である。

 さてメジャーリーグでは、すぐにでもこの自己記録を更新するのではないか。理由はスピードが出やすい米国のマウンドの形状にある。かつてメジャーリーグに挑戦してから6キロも球速をアップさせたピッチャーがいる。ドジャースなどで主にクローザーとして活躍した斎藤隆だ。斎藤の日本時代のMAXは153キロ。それがドジャースに移籍して2年目の07年6月、ダイヤモンドバックス戦でストレートは159キロに達したのだ。1キロや2キロならともかく、37歳になってから5キロ以上もボールが速くなるなんて聞いたことがない。そこで本人に確認すると「米国のマウンドの傾斜のせいですよ」という答えが返ってきた。

「日本のマウンドは比較的、傾斜が緩やかです。こうした形状をいかすため、踏み込んだ時、(右ピッチャーは)左ヒザをグッと前に踏み出すようにと指導を受けます。ところが米国のピッチャーは踏み出した前の足を突っ張り、その反動を利用してテコの原理でバーンと上から上体を倒すような投げ方をする。また、そうやって投げたボールは速いし、低めにもいくんです」

 もちろんリスクもある。「ハムストリングから臀筋にかけての張りは尋常ではありませんよ」 自己最速への挑戦は故障と背中合わせでもあるというのだ。

 ちなみにメジャーリーグ最速は10年9月24日、アロルディス・チャップマン(当時レッズ)がパドレス戦でマークした169キロ。上には上がいる。

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