通夜や告別式といった葬儀において、最も印象に残るのは遺影ではないだろうか? 今回は遺影について、その歴史から最近流行りの生前撮影、作成方法、飾り方、処分方法まで、さまざまな角度から調査してまとめてみた。
■意外と知らない!?「遺影」の基礎知識
●遺影とは
「遺影」(いえい)とは、通夜や告別式といった葬儀の際に祭壇に飾る、故人の肖像画や写真のことである。これまでは喪服姿で映った光沢のない白黒写真を黒い額縁に入れて飾るのが通例だったが、最近では普段着で映った光沢のあるカラー写真を故人が好きだった色などのフレームに入れて飾るのが一般的である。
遺影写真は、祭壇に飾った時に参列者からよく見える必要があるため、四つ切りサイズまで引き伸ばすのが普通である。また、葬儀の際は遺影の額縁に遺影リボンと呼ばれるリボンをかける風習がある。
■いつから始まった!?「遺影」の歴史
遺影は日本独自の風習であるが、その発祥には諸説ある。
遺影のルーツではないかと言われているのは、江戸時代に流行した「死絵(しにえ)」と呼ばれる浮世絵である。これは亡くなった人気歌舞伎役者などの似顔絵で、ファンに向けて盛んに発行された。
日本史上初めて遺影が飾られたのは、1883年の岩倉具視の葬儀においてである。明治天皇が大和絵の肖像画を用意するよう命じたという話が残っている。また1877年に勃発した西南戦争では、死を覚悟した軍人の間で肖像写真を撮るのが流行したと言われている。さらに1894年の日清戦争と1904年の日露戦争では、戦死者の遺影が雑誌に掲載されたり、戦死した息子の冥福を祈るために家族が座敷に写真を飾ったりするようになった。