平日は録画していた土・日のレースを見直し、それから、週末に行われるレースのことを考える。調教のある日は栗東トレセンへ。その他にも、騎手会長としての仕事やイベントへの出演などもあり、ほぼ競馬オンリーの生活です。今年の冬はそれに、オリンピックを楽しむ時間が加わりました。この競技を見るために時間を合わせて……というわけにはいきませんから、時間があるときに、たまたまやっている競技を見ることになるんですが、さすが、世界最高峰のアスリートが集まって金メダルを争う大会です。初めて見る競技や、技の名前を聞いても、何が何やら分からないものもありますが、華麗さや、力強さ、スピードや、一瞬の判断力のすごさなど、純粋にオリンピックを楽しんでいます。

――最高の舞台で、最高の試合を。選手なら思いは誰も同じでしょう。悔いのない試合をすれば結果は後からついてくるというのも、その通りです。でも、同じアスリートの立場から言うと、やっぱり、目指すべきものは、欲しいのは、最高の色のメダル……金メダルです。スケート競技ならアイスの上から。スキー競技なら雪上で。一番になった瞬間、見上げる景色は、一生忘れることのできない宝物です。泣いている人。叫んでいる人。飛び上がって喜んでいる人……心が震えるような、そんな光景を見ることができるのは、一番になった人だけが見ることのできる特権です。競馬も、野球も、ラグビーも、サッカーも、それは変わりません。

 今年、一つ目のG1レース、「フェブラリーステークス」で、その特権を手にしたのは、6歳馬のノンコノユメと、年男の内田博幸騎手でした。今年、JRAで行われるG1(ジャンプを除く)は、残り23。一つでも多く、馬場から、あのシーンが見られるように僕も頑張ります。

■G1桜花賞、皐月賞への出場権をかけた二つの戦い

 今週末は、その一つ、「桜花賞」(4月8日)につながるレース、G2「チューリップ賞」(芝1600メートル)と、「皐月賞」(4月15日)につながるG2「弥生賞」(芝2000メートル)が待っています。

 3月3日、阪神を舞台に行われるチューリップ賞のパートナーは、マウレア。翌4日、中山で行われる弥生賞のパートナーは、ジャンダルム。楽しみな馬がそろいました。2013年の桜花賞馬アユサンの全妹マウレアとは今回が初めてのコンビになりますが、その良さはチェック済み。彼女の良さを引き出せれば、桜花賞に向けて一気に視界が開けます。もう一頭。昨年、G1に昇格した暮れのホープフルステークスで、惜しくも2着に敗れたジャンダルムにとっては、強力なライバルがそろったこのレースが大きな試金石になります。

 春のクラシック戦線に向けて、どんなレースを見せてくれるのか。オリンピックで言えば、出場権を獲得できるかどうかという重要なレース……期待は高まるばかりです。

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