「認知症」行動で分かる“初期サイン”

 高齢化が進む現代において“国家的な課題”ともいわれる認知症。その研究は、日本国内だけを見ても日進月歩で進んでいる。「今年1月8日には、東京大学などの研究グループがアルツハイマー型認知症の原因物質といわれるアミロイドβを分解する酵素のメカニズムを解明したことを報告。また、同29日には、ノーベル賞科学者の田中耕一氏らが、数滴の血液でアルツハイマー病を簡単に判定できる方法を発表するなど、“世界初の快挙”が相次いでいるんです」(全国紙厚労省担当記者)

■初期発見、進行を遅らせることが一番の対処法

 とはいえ、研究は進んでいても、臨床現場では「進行した認知症は治すどころか、改善させるのも難しい」というのが実際のところ。中高年のメンタルケアに詳しい石蔵文信・大阪大学人間科学研究科未来共創センター招聘教授(医学博士)は、「認知症は初期段階で早目に気づき、進行を遅らせることが一番の対処法」だと言う。「認知症の初期段階では、もの忘れやド忘れが多くなるんですが、それだけではありません。ちょっとした言動でも、ある程度の判断ができます」

 具体的には、「些細なことにカッとなって怒鳴る」「涙もろくなる」「何か注意されると、いじけたり、すねたりする」ことが急に増えたときは要注意だという。「認知症は理性を司る前頭側頭葉の働きが低下するため、感情の抑えがきかなくなり、こうした症状が表れてくるのです。また、気持ちが落ち込んでうつ状態になり、物事への興味や好奇心がなくなったり、新しいことにトライしなくなったりすると、脳への刺激が減ってくる。こんな負のスパイラルで認知症が進行する場合もあります」(石蔵教授=以下同)

 たとえば、一日中、テレビを見るなど、前日と変わらないワンパターンな生活を繰り返すようになると、「こうした常同行動が多くなるのは危険な兆候。認知症の進行も加速します」

■車の運転や料理中にも危険なサインが…

 他にも、認知症の危険サインは、日常の行動に表れることがあるという。「認知症の入り口にさしかかると以前と比べて注意力や、とっさの判断力も低下します。料理で指を切ったり、散歩のときに頭をぶつけたりするなど、ケガが増えるのも危険な兆候です」

 最近注目の「車の運転と認知症の関係」についても、こうした判断力の低下が起因しているのだという。「初期サインは日常の会話にも表れます。言葉の解釈に時間がかかるため、受け応えが遅くなるからです。家族で話をするとき、“聞いているだけ”のことが多くなったら要注意です」

 また、特に女性の場合、家事や身だしなみの変化に初期サインが表れることが多いという。以前と比べて部屋が散らかるようになったり、2~3日、同じ服を着るようになったりしたら、注意が必要だ。「認知症初期レベルでは、人と交わり、会話を増やすことで、かなり改善できます。また、自分が打ち込める楽しみや趣味を見つけることも大切です。初期の段階なら、こうした対処法で脳の機能を維持・改善することが十分可能です。自分や周囲の人が認知症かなと思ったら、もの忘れ外来などがある専門医で受診することが大切です」

 認知症の初期サインを、ただの老化現象と侮ることなく、早い段階で対処することが、進行を食い止める一番の方法だろう。

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