皆さんより一足早く年度末を迎えたJRAでは、今年、12人の調教師の先生がターフを去ることになりました。定年で引退されるのは、栗東では、テイエムオペラオーなどを育てた岩元市三先生、ノースフライトの加藤敬二先生、ワンダーアキュートの佐藤正雄先生、イクノディクタスの福島信晴先生、ケイティブレイブの目野哲也先生の5人。美浦は、ナンヨーリバーの池上昌弘先生、グラスワンダーの尾形充弘先生、マンハッタンカフェの小島太先生、バリエンテーの二本柳俊一先生、フジノスラッガーの和田正道先生と、同じく5人。さらに今年は、テイエムサウスポーの柴田光陽先生、エルコンドルパサーの二ノ宮敬宇先生が勇退され、一気に12人もの先生とお別れすることになりました。

■G3阪急杯をダイアナヘイローで勝利

 僕自身は、“引退”を考えたこともないので、――これがホースマンとして最後のレース……。という先生たちの気持ちを推し量ることしかできませんが、“とにかく無事に”というのと同時に、“勝ちたい”というのがホースマンとしての性だと思います。これに応えるように、土曜中山では、ノリさん(横山典弘騎手)に導かれたメンデンホールがハナ差の勝利。この白星で、小島太先生はJRA通算1500勝(騎手1024勝、調教師476勝)を達成。同じ日、中山2Rで勝利を挙げ、JRA通算800勝を記録した尾形充弘先生ともども、“さすが”と唸らせるものがありました。

 こうなると、僕だって負けていられません。1997年に達成したJRA重賞100勝目(北九州記念)のパートナー、ダンディコマンドでお世話になった、福島信晴先生に、――なんとか、最後の重賞勝利を。という強い思いで臨んだのが、ダイアナヘイローとともに挑んだG3「阪急杯」(芝1400メートル)です。

 レースは、抜群のスタートから、早めに先頭へ。最後はいっぱいいっぱいでしたが、それでも粘ってくれたのは、“競馬の神様”からの粋なプレゼントだったのかもしれませんね。

――福島先生を男泣きさせるような走りをしたい。密かに狙っていた通り、ダイアナヘイローがドラマチックな激走。これに感極まった先生の目には、涙があふれていました。こんな先輩たちの強い思いや、数えきれないほどの苦労、悔し涙があって、今の競馬があります。そのことを忘れず、また今日から、競馬界を盛り上げるために、僕自身がやるべきことを、やらなければいけないことを、ひとつずつ地道にやっていきたいと思います。

■G1桜花賞へ向け、フィリーズレビュー!

 今週のメインは、阪神を舞台に行われるG2「フィリーズレビュー」(芝1400メートル)。パートナーのトロワゼトワルは1勝馬のため抽選になりそうですが、出走できれば面白い存在になりそうです。季節は弥生、3月。春を感じながら、今週も競馬を楽しんでください。

本日の新着記事を読む