2月25日の東京マラソンで、日本新記録を出した設楽悠太選手(26)。「2002年のシカゴマラソンにおける高岡寿成選手の日本新を、16年ぶりに5秒更新して、2時間6分11秒でゴール。日本実業団連合は、日本新を出した選手に1億円の報奨金を出す強化プロジェクトを、3年前から実施していました。導入後、初めて1億をつかんだ選手が設楽です」(スポーツ紙記者)
■箱根駅伝の優勝メンバー
埼玉県寄居町出身で、双子の兄・啓太選手とともに、実力を磨いた悠太選手。中学時代の陸上部の顧問だった、教諭の川音順子さんは“1億円の脚”の原点について、こう語る。「部活の練習ではノルマをしっかりこなして、学校の周回コースをよく走っていましたね。しかも、それだけでは足りず、サッカーや野球、バスケもやったり。体力を持て余していたんでしょうね。自宅に帰っても近所の空き地で、兄や友人らと遊び三昧でしたよ」
強さのヒミツは、そのワンパクぶりにあるようだ。「あの頃は、体も小さくて細くて、筋肉もなかったんです。それでも全国大会では上位でしたから、筋肉がつけば、伸びしろはかなりあるなと、密かに期待していました」(前同)
卒業後は兄弟で武蔵越生高校に進学。高校駅伝では、地元の強豪、埼玉栄を“設楽ツインズ”が撃破した。「兄弟で東洋大に入ってからは、ともに箱根駅伝の優勝メンバーにもなりました。偏食で野菜嫌いなのは今も同じです」(前出の記者)
その後、悠太選手はホンダへ所属。「大学までは兄が先んじていましたが、16年のリオ五輪で悠太選手が1万メートルに出場。この頃から兄弟の実力は逆転しました」(前同)
これについて、前出の川音さんはこう分析する。「悠太が入ったホンダは、のんびりムードなのが案外、良かったのかもしれませんね。マイペースで、練習にも試合にも臨めました。2年前のリオ五輪1万メートルでは、世界の強豪選手を相手に失敗レースでしたが、その後、トラックからマラソンに転向したのも、本人の考えでしょう。あの兄弟は目標を与えると、言われなくても実行していく素質がありました」
■東京オリンピックで兄弟ワンツーフィニッシュを!
昨年には、ハーフマラソンの日本記録を塗り替え、絶好調で冬のシーズンを迎えていた悠太選手。東京マラソンをテレビで観戦したという川音さんは、レースをこう振り返る。「キョロキョロ後ろを振り返る仕草は、癖なんですよね。そんなことしないで真っすぐ走ればもっと速いはずなのに。まあ、悠太の愛嬌ということですね。いつも大笑いして見ていますよ。東京五輪はマラソンで、兄弟ワンツーフィニッシュしてくれるのが夢ですね」
賞金1億円について、記者会見では「豪快に使いたい」と語った悠太選手だが、「本人、何のことか分からないんじゃないですか。まあ、親に全額プレゼントしちゃうなんて、いいのかも(笑)」(川音さん) 新スターに期待!