先週、ターフを離れることになった先生のことを書きましたが、去る人がいれば、来る人あり。夢と希望を抱いて新しく出発する人たちがいます。ジョッキーとして僕らの仲間に加わるのは、山田敬士、西村淳也、服部寿希の3人。これまで模擬レースしか経験したことのない彼らにとっては、プロのスピード、繊細さと緻密さ、ここ! というところの大胆さなど、すべてが驚きの連続だと思います。しかし、待っているだけでは、うまくはなれないし、誰も何もしてくれません。

――欲しいものがあったら、自分の手でつかみ取りにいくしかない。それは、どの世界でも同じです。先輩たちは高い壁となって立ち塞がり、容赦なく叩き潰しにきます。3人の新人ジョッキーはそれを乗り越えて、みんなから認められ、誰からも愛されるプロのジョッキーになってください。

 次は今年、調教師試験に合格した方たち――石坂公一先生、稲垣幸雄先生、上村洋行先生、加藤士津八先生、坂口智康先生の5人です。よく知っている先生も、一度もお話をしたことのない先生もいますが、開業されるときは、ぜひ声をかけてください。喜んで騎乗させていただきます。

 最後は今年、新規開業された調教師の先生たちです。美浦は田中博康先生、林徹先生、和田勇介先生。栗東は高柳大輔先生、武英智先生、安田翔伍先生。そして、もう一人――武幸四郎先生です。弟を先生と呼ぶのは、お互い照れのようなものもあり、まだどこか、しっくり来ませんが(苦笑)、最初が肝心です。他の先生にするように、パドックできちんと「お願いします」と一礼。初陣を飾る武幸四郎厩舎のグアンに騎乗させてもらいました。

 兄弟として初めてタッグを組んだデビュー戦の結果は――1番人気に応える初陣V。調教師になるために慣れない試験勉強に励み、試験に合格した昨年は、この日のために美浦の藤沢和雄厩舎で一から勉強する姿を見続けてきた兄としては、胸にこみ上げてくるものがありました。一番見せたかった父はもういませんが、きっと喜んでくれていると思います。いや、「まだまだだな」と、ニヤリと笑っているかもしれませんね。新しい道は今、始まったばかり。いつか、武幸四郎厩舎の馬でG1を取れるように、これからも兄弟で精進していきます。

■G2阪神大賞典はディープインパクトなどでV!

 今週、僕が騎乗するのは17日の中京競馬場G3「ファルコンステークス」(芝1400メートル)が、アサクサゲンキ。翌18日のG2「阪神大賞典」(芝3000メートル)は、これが初タッグとなるクリンチャーです。阪神大賞典は、メジロマックイーンで2度、ナリタブライアン、スペシャルウィーク、ダイタクバートラム、リンカーン、ディープインパクト、アイポッパーと8度制覇しているレースですから、今から気合が乗っています。クリンチャーとともに9度目のVへ。今週末は、中京と阪神競馬場で盛り上がりましょう。

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