■精進落としのイロハと、開始~終了の流れ

 精進落としの席の時間は、2時間程度が一般的。葬儀の喪主や、親族の代表者が取りしきる。その流れを説明しよう。

(1)参加者を席へと案内、誘導する。

(2)喪主(代表者)のあいさつと献杯の音頭。

(3)位牌にお酒を供える。

(4)時間がきたら喪主(代表者)が最後のあいさつをする。

(5)参加者を出口へ誘導しつつ、返礼の品を手渡し、見送ってお開き。

●会場のレイアウトと席次

 四十九日の忌明け法要の会場の一番奥には遺影と位牌を、葬儀の場合は遺骨(お骨)を設置する。宗派にもよるが、位牌の前には「陰膳」(かげぜん)という、故人を供養するための御膳を供える。利用する会場や料理店に相談すれば、用意してもらえるはずだ。浄土真宗の場合、陰膳は必要ない。

 位牌に近い上席には僧侶に座ってもらう。次に、世話役にあたる人物。以下、親族の席となる。代表者は一番会場の出入り口に近い末席に座る。

■精進落としに招く側のマナーQ&A

Q:精進落としは必ずしなくてはいけない?

 葬儀当日に初七日と精進落としをしない代わりに、葬儀の香典を辞退する場合もある。

Q:精進落としには参加しない人がいる場合、どうすればいい?

 精進落としには参加できない会葬者がいる場合、本人に聞いた上で、持ち帰り用の料理を用意する。また、僧侶が参加できない場合は、読経に対するお布施と別に食事代を渡すのが慣例。白い封筒の表書きに「御膳料」と記入し、5000~1万円のお金を包む。

Q:誰を、どこまで呼ぶべき?

 葬儀や四十九日などに会葬する人は、基本的に全員を招待する。つまり、精進落としの前に行う法要の規模によって、人数も違ってくる。近親者のみの家族葬なら、身内だけのささやかな席に。故人の友人や会社関係の知人も参列するなら、それなりの規模になる。

Q:精進落としの料理の値段はいくら位が目安?

 1人前3000円程度が一般的。会場や仕出しの業者は葬儀社が紹介してくれるだろう。何種類かのコースから選択できるはずだ。

Q:メニューの内容に決まりはあるの?

 肉や魚を用いても問題ないが、伊勢海老や鯛といった、お祝いの席で出されるような食材は避ける。多くが和食で、寿司や懐石料理、お弁当などがポピュラー。参加者の出欠を確認する際、食べられないものがないかを聞いて、料理を依頼する先にアレンジしてもらうと親切だ。飲み物はお酒もOK。

Q:喪主(代表者)がするあいさつの内容は?

 最初に故人との続柄など、自己紹介を。次に「本日は会葬いただき、誠にありがとうございます」とお礼を述べる。故人との思い出や法要の感想を挟み、「ささやかではありますが、ゆっくりとお召し上がりください」と締めた上で、「献杯」へと続ける。あいさつは1分間程度でまとめたい。

Q:喪主(代表者)が精進落としの間にすべきことは?

 参加者の誘導とあいさつの他、食事中には上席から順に席を回り、お酌をしながら参加者に声をかけよう。「今日はありがとうございました」とお礼がてら、故人との思い出や、近況報告など。人数が多い場合は、喪主の妻や子など、親族も手伝うことが多い。

Q:帰り際に参加者へ渡す手土産みたいな物は何?

葬儀や法事で参加者が包んでくれた香典に対する返礼の品。「香典返し」といって、3000円程度が相場とされている。参加者が帰る際に手渡すので、精進落としを行う場合は事前に会場に準備しておくといい。

Q:精進落としでやってはいけないことは?

 精進落としの席では「乾杯」とは言わない。乾杯は主に宴会などにおいて盃を合わせる際に使う言葉。通夜や葬儀、法事の際は、故人への敬意を表する「献杯(けんぱい)」を使おう。

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