元日の朝に飲む祝い酒といえば「お屠蘇」(おとそ)。毎年何気なく飲んでいる方もいるかもしれないが、お屠蘇にはどんな意味やしきたりがあるのだろうか。また、お屠蘇を自家製で作る方法とは?
今回は、日本で長らく親しまれているお屠蘇について解説する。
■「お屠蘇」とは?
「お屠蘇」とは、元旦に飲む祝い酒である。元旦に家族が順番にお屠蘇を飲むことによって一年間の邪気を祓い無病長寿を祈るという風習は、お正月の定番セレモニーのひとつとして、日本で長きに渡って親しまれている。元々は中国で始まった習慣であるといわれており、日本に伝わったのは平安時代。そこからさらに一般庶民に浸透したのは江戸時代に入ってからのことである。
「屠蘇」という漢字は難しくて読みにくいのだが、この漢字が使用されているのにも意味があるとされており、いくつかの説が存在している。
「屠」という漢字は、屠る(ほふる)=(1)からだを切りさく。また、きり殺す。(2)敵を破る。打ち負かす、という意味を持っているほか、「邪気を払う」という意味で使われることもある。
そして、「蘇」という漢字は、「病をもたらす鬼」または「魂を目覚めさせ蘇(よみがえ)らせる」という意味を持っている。
そのため、「屠蘇」という漢字は、(1)「蘇」という悪鬼を屠る(2)「蘇」という悪鬼を屠るだけでなく、魂を蘇生させる、などいくつかの解釈がなされている。
いずれにせよ「お屠蘇」は、元日の朝、前年の邪気をはらい気持ちを新たにして、無病長寿を祈るという、前向きな意味で飲まれるお酒である。