「松竹梅」は順番じゃない!? 本当の意味や由来と心理的行動に迫るの画像
「松竹梅」は順番じゃない!? 本当の意味や由来と心理的行動に迫るの画像

 年賀状などに描かれるおめでたい植物として知られる松竹梅は、うなぎや和食膳のランクを表す表現としても使われる機会が多い。今回は松竹梅の3つが、慶事の象徴や商品の順番になった理由はもちろん、行動経済学で明らかになった人間心理「松竹梅の法則」についてもひも解いていく。

■日本発祥じゃない!?「松竹梅」の由来と歴史

●松竹梅とは

 松竹梅(しょうちくばい)とは、読んで字のごとく、松と竹と梅の3つの植物を1セットにした言葉である。この3種類の植物は、どれも厳しい寒さに耐えることから、中国では古くから”歳寒三友”と呼ばれ、絵のモチーフにされることが多かった。やがて日本に伝わると、慶事に用いられる、めでたい縁起物となった。江戸時代には、うなぎ屋で長時間待たされることを表す洒落言葉「待つ(松)だけ(竹)うめ(梅)え」としても流行った。

●等級を表す松竹梅

 松竹梅は、日本では品物や座席などのグレードを三階級に分けたときの呼称としても知られている。本来的には等級を分けるものではないが、注文などをする際に「並」というより「梅」と植物の名前に置き換えたほうが露骨でないため、寿司店や和食料理店などを中心に、ランクを表す便利な言葉として使われるようになったのである。

 本来、松竹梅は平等であり、特に優劣や順番が決まっているわけではないが、いつの間にか特上を松、上を竹、並を梅と呼ぶのが慣例になった。この順番の由来としては、めでたいことの象徴として日本に浸透した時代順だという説や、単に松竹梅とセットで呼ぶときの語順だという説などがある。

■「松竹梅」の3植物が選ばれた理由、それぞれに込められた深い意味

 そもそも、なぜ松竹梅が慶事の象徴に選ばれたのだろうか? それぞれに異なる選出の理由や経緯と一緒に、植物としての特徴についても簡単に解説しておこう。

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