●松

 1年中枯れない常緑樹である松は、何十年、何百年と変わらない姿を保つことから、日本では古くから不老不死や長寿を象徴してきたほか、1株に雄雌の両方を有するため神が宿る神聖な木だと信じられてきた。平安時代に縁起物の仲間入りをした松は、鶴(つる)との組み合わせが特に慶ばれる。また、葉には殺菌効果があるため、実用的な飾りとして祝い膳などに重宝されている。

●竹

 松と同じく常緑樹である竹は、他に類がないほど多くの用途を持っているため、日々の生活に欠かすことができない大切な植物である。四方八方に張りめぐらせた根をどんどん広げてゆく姿は、子孫繁栄の象徴とされてきた。室町時代から縁起物に数えられるようになり、雀(すずめ)との取り合わせが良いとされている。タケノコが食用、葉が薬草、節の中にたまる水が飲料になるだけでなく、食器や家具、楽器、玩具などの材料としても活躍する。

●梅

 どんなに樹齢を重ねても、春の兆しが見える頃になると、他の花々に先駆けて咲き誇るのが梅。人々を圧倒する力強い生命力と芳醇な香りは、昔から気高さや長寿のシンボルとされてきた。縁起物に加わったのは江戸時代で、鶯(うぐいす)との相性が良いとされている。熟した実は梅酒や梅干し、薬などになる一方で、未熟な実は食中毒の原因になることから、毒にも薬にもなる不思議な木として知られている。

■こんな所にも!?「松竹梅」にちなんだアレコレ

 中国で発祥した“歳寒三友”の松竹梅は画題として知られているが、日本に伝わり慶事のシンボルになった松竹梅は、絵画だけでなくさまざまなジャンルで、めでたいモチーフとして採用されてきた。

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