■転勤がある理由、その目的とは?

 一体、なぜ社員を転勤させるのか? 独立行政法人 労働政策研究・研修機構による「企業の転勤の実態に関する調査」(2017年度版)を見てみよう。転勤の目的で一番多いのは「社員の人材育成」で66.4%、以下に「社員の処遇、適材適所」「組織運営上の人事ローテーションの結果」「組織の活性化・社員への刺激」「事業拡大・新規拠点立ち上げに伴う欠員補充」「幹部の選抜・育成」「組織としての一体化・連携の強化」などと続く。大きく分けると、下記のような目的が主になるだろう。

●社員育成

 一か所で経験やスキルを積むよりも、状況が異なるさまざまな土地で働いたほうが幅広い経験が得られる。社員教育を、数年単位ではなく数十年単位で考えるため。

●利益向上

 広範囲で事業を展開している企業の場合、事業所・支店ごとに利益の格差が生じがちだ。そのため、売り上げの低い所へ実力のある社員を異動させる傾向がある。転勤先へのカンフル剤としての要素が強い。

●環境のリフレッシュ

 長く同じ会社で働き、周りの人間も仕事内容も変わらないと、どうしてもマンネリ感が漂ってくる。働く場所も人間関係も刷新し、業務効率を上げるという目的もある。

■割合は? 年齢は? 転勤にまつわる実態を解剖!

●正社員の場合、転勤になる可能性は何%?

 日本の正社員には、どれぐらいの割合で転勤があるのか。前出の調査結果では、「ほとんどが転勤の可能性がある」が33.7%、「転勤する者の範囲は限られている」が27.5%、「転勤はほとんどない」27.1%となっている。正社員規模が大きい企業ほど、転勤の可能性は高まる。

 従業員規模で見ると、5000人以上では95.8%、300~999人規模では66.2%、30~99人規模では21.7%となっており、従業員数が多いほど、大企業であるほど転勤が多いのが分かる。

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