■四国にも期待のエースが!

 四国からは、松山聖陵(愛媛)も何かやらかしてくれそうな気配を漂わせている。エースの土居豪人は、身長190センチと、文字通りの“大型投手”。「その長身から投げ下ろす、最速144キロの速球は、並の選手ではちょっと打てないのでは」(前同)

 昨秋、1年生投手ながら堂々たるマウンドさばきで、チームを四国大会準優勝に導いた英明(高知)の黒河竜司投手にも注目だ。「派手さはないけど、勝てる投手。高校生にしてはまとまりがあり、牽制もうまい。“すごい投手”というわけではありませんが、試合を作る技術をしっかり持っています」(持木編集長)

■ダークホースも要チェック!

 どのチームが頭角を現すにせよ、有力とされる大阪桐蔭を軸に優勝争いが繰り広げられることは間違いないが、もちろん勝負は時の運。これまで名前の出てこなかった、ダークホース的な選手やチームが活躍する可能性も少なくない。そこで、持木編集長に、注目選手とチームの名を、それぞれ挙げてもらった。「選手では、近江(滋賀)の北村恵吾が面白いと思います。岐阜県選抜では大阪桐蔭の根尾昂ともチームメートでした。昨年は1年生にして4番・一塁で甲子園に出場していましたから、昨年の経験を踏まえて、今年はもう一つ上の活躍を見せてくれるかもしれません」

 では、チームでは?「宮崎の延岡学園です」 意外とも思える名前だが、もちろん根拠はある。実は、今年のエースである上野元基投手や主将の椿原塁外野手は、宮崎県門川町の門川中学出身。門川中は、2015年の軟式野球で史上初の春夏連覇を果たしており、椿原外野手はU-15アジア選手権2015の日本代表にも選出されているのだ。「延岡学園には、この2人の他にも、門川中のチームメイトだった選手たちが、多数在籍しています。それ以外の選手たちも、ほとんどが宮崎県内の出身者で固められています。こういった、純粋な地元のチームにこそ勝ち上がっていってほしいという気持ちもあって、ダークホースに挙げさせてもらいました」(持木編集長)

 各地の野球エリートたちをそろえた強豪校を、地方の地域密着チームがバッタバッタと斬り伏せる……確かに、そんなシーンを見てみたいものだ。

■高校野球の歴史上、春の連覇は至難の業

 実は、100年に及ぶ高校野球の歴史の中で、最も難しいと言われているのが春の連覇。夏春連続優勝が6校、春夏連続が4校、そして夏の連覇が5校あるのに対して、春の連覇を達成した高校は今まで29年~30年の第一神港商高、81年~82年のPL学園の2校しかない。「前年の主力だった3年生がごっそりいなくなる新チームで、2年連続で秋季大会を勝ち上がり、甲子園でも1敗もしないというのは実に至難の業。逆に言うと、どのチームにも勝ち上がる隙はあるということ。大阪桐蔭が史上3番目の春連覇を達成するか、楽しみですね」(専門誌記者)

 3月23日に始まる熱戦は、実に13日間に及ぶ。4月4日の決勝戦に勝ち、頂点に立つチーム、そして敗れゆくチーム。それぞれのドラマを目撃しよう!

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