先週に続いて、インスタントラーメン専門店『やかん亭』グループ店主で、“麺クリエイター”として活躍中の大和イチロウさんとの対談です。前回は、インスタントラーメンの意外な秘密…製造過程における湿度や麺の太さなどの、ちょっとした変化で味がまったく変わる“繊細な食品”であることにビックリ。職人さんたちの技術によって、あの味が出ていることを知りました。そんな奥の深いインスタントラーメンだけに、食べる側もできるだけ“おいしい作り方”をマスターしておきたいですね。
■おいしい作り方の大原則
大和「まず、袋麺を作るときの大原則は、お湯を100度にグツグツ沸騰させてから麺を投入すること。これは絶対です」
ゆま「そうなんですね……。私、まだ完全に沸騰していない状態で麺を入れているときがあります」
大和「それはもったいない(笑)。次に大事なのが、箸で麺をほぐすタイミングですね」
ゆま「私はある程度、お湯で茹でてほぐれてきたら、お箸を入れてほぐしているかな」
大和「ほぐすタイミングは、具体的に言うと、茹でる時間の3分の2程度のときが一番。3分茹でるラーメンなら、2分ぐらい。5分かかるラーメンは、3分半ぐらいですね」
ゆま「ええ~! それは、どうしてですか?」
大和「NHKの番組に出演させてもらったときに、実際に実験してみたところ、このタイミングが一番おいしかったんです。さらに、ほぐすときは麺を全部ほぐすほうがおいしくなります。要は、麺の隅々まで熱とお湯が当たるようにするんです」
ゆま「勉強になる~!」
大和「沸騰してから麺を投入することと、麺のほぐし方を知っておくだけで、本当においしくなりますよ」
■トッピングのオススメは駄菓子やコブ茶!
ゆま「おおっ。あと、もう一つお聞きしたいのは、インスタントラーメンに入れるトッピングでは、何がオススメですか?」
大和「これもよく聞かれるんですが、僕は“駄菓子”のチョイ足しが一番だと思います」
ゆま「え? 駄菓子?」
大和「はい。たとえば『うまい棒』なんかは、万能の調味料なんです。とんこつラーメンに明太子味のうまい棒を入れると、めちゃくちゃおいしいですよ」
ゆま「うわあ~! 確かにおいしそう」
大和「はい。そのまんま、うまい棒を入れてもいいんですが、崩して、しっかりスープに溶け込ませるとコクが出るんですね。いい具合に、油と一体化するんです」
ゆま「じゃあ、『よっちゃんイカ』はどうですか?」
大和「あれもおいしいんです。特に日清のカップヌードルとの相性が抜群です。特に、ノーマル味と『よっちゃんイカ』は最高です。シーフード味に入れると、また違った海鮮風味になって、新たなおいしさを発見できますよ」
ゆま「やってみたい! どうしてインスタントラーメンと駄菓子は合うんですか?」
大和「まあ、駄菓子は、そのまま食べてもおいしいように、調味料の塊なんです。また、インスタントラーメンは“とがった味”が多いんですね。チキンラーメンなんかも、後味がちょっとキツいでしょ?」
ゆま「はい。口の中にずっと味が残るというか」
大和「そこに駄菓子の油を絡めてあげると、まろやかになって、味が丸くなるんですね」
ゆま「なるほど!」
大和「駄菓子以外では、“コブ茶”もオススメです。あれを耳かき1さじほど入れるだけで、めっちゃ味が丸まりますよ」
ゆま「味噌汁や餃子のタレなんかに入れても、おいしいって聞きますもんね!」
大和「そうなんです。これには理由があって、植物性と動物性のうまみ成分が重なると、うまみが5倍から10倍まで膨らむんです」
ゆま「ええ~? そんなに?」
大和「はい。具体的に言うと、イノシン酸とグルタミン酸が重なると、そうなるんです。これは科学的にも実証されているんですね」
ゆま「ヤバい! インスタントラーメンを使って、いろいろ試したくてしょうがないです!」
大和「アハハ。よかったです」