怪物・清宮幸太郎が直面した「プロの高い壁」の画像
怪物・清宮幸太郎が直面した「プロの高い壁」の画像

 3月13日、都内の病院で精密検査を受け、限局性腹膜炎と診断された日本ハムの大物ルーキー・清宮幸太郎。新人王が期待される“怪物”だが、開幕一軍は絶望的で、日ハムの「清宮育成計画」も練り直しが必要となってしまった。だが、チーム内からは、「これで良かったのではないか」との声が聞こえてくる。「戦線を離脱する直前、清宮は極度の不振に陥っていたんです。オープン戦で19打席ノーヒット、いわゆる19タコです。13日の広島戦に出場の予定でしたが、このままでは大スランプに陥るのも必至の状況。焦ってフォームを崩すより、治療に専念して、一から鍛え直すほうが、長い目で見て得策だと思っていましたので、“ケガの功名”じゃないかな」(球団関係者)

■王貞治や筒香嘉智でさえ苦しんだ

 プロで、なぜ打てないのか? 清宮本人は、次のように分析している。「打ったと思っても、前に打球が飛ばない。(プロの変化球は)キレもあるし、速球を打ちにいきながらというのは、難しさがある」

 追い込まれた後に、ストレートと変化球のどちらが来るかが予測できない。両方に対応するのは、今の清宮にとって“至難のワザ”だというのが現実だろう。せめて、追い込まれる前に、ストレートをヒットできていれば、ここまで苦しむこともなかったのだろうが、プロのストレートはスピードもキレも、アマのそれとは段違い。野球評論家の金村義明氏は言う。「アマ時代に使っていた金属バットなら多少ポイントがズレても飛ぶんですが、木製バットだとそうはいかない。また、打てないことから、早く結果を出そうと焦ってフォームがだんだん小さくなってしまうという悪循環に陥っていました」

 しかし、19タコしたからといって、清宮のバッティングがプロで通用しない、というわけではない。「あの王さんだって、プロの球に慣れるまでは相当、苦しんだことは有名です。僕だって、最初は全然、打てませんでした。アマのときに打てたからといって、そのまま通用するほどプロは甘くない。まして、あれだけ鳴り物入りで注目されれば、焦るのも当然。彼の苦しみは、誰もが通る道ですよ」(前同)

 現在、日本でナンバーワンのバッターと目される筒香嘉智(DeNA)でさえ、初年度のオープン戦では15打数3安打7三振と結果を残せず、二軍落ち。みっちりと二軍で鍛えたからこそ、今がある。新人の年のオープン戦で結果が出ないことを悲観することはないというのが、多くの識者の見立てだ。ある意味、病気は天佑。万全の状態でグラウンドに戻って、怪物らしさを発揮してほしい。

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