ブランド米の戦国時代「本当においしいお米」はコレだ!の画像
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 日本人の主食として、老若男女問わず食されるお米。中でも、コシヒカリやササニシキといった高級ブランド米が特においしいというのは誰もが知るところだが、近年、その勢力図に大きな変化が起きているという。「2月28日に日本穀物検定協会が発表した2017年産米の食味ランキングでは、新潟県の魚沼産コシヒカリが5段階評価最高の特Aから2番目のAに降格したんです。89年に特Aができて以来28年間、最上位に君臨していましたから、初の降格です」(全国紙文化部記者)

 昨夏の天候不順が品質に影響を与えたといわれるが、大凶作だった93年も、唯一評価を下げなかっただけに、業界では激震が走った。「とはいえ、コシヒカリ全体の評価が下がったわけではなく、同じ新潟でも上越や下越、佐渡産のコシヒカリは特A評価です。味、食感、香りにおいて、コシヒカリは横綱ですね」(前同)

 今年、評価の対象となったのは全国151ブランドで、特Aランクは43種。「新たに特A評価となったのは、埼玉県の『彩のきずな』と高知県の『にこまる』と、佐賀県の『夢しずく』。ブランド米の世界は、下剋上が相次ぐ“戦国時代”の様相を呈しています」(グルメ誌ライター)

■ブランド米ランキングは戦国時代に!

 このように、高品質のお米が群雄割拠する状況は、どうして生まれたのか。「食の多様化でお米の消費量が年々減っているのが最大の要因。少しでも多くの人にお米を食べてもらおうと各農協や農家が努力した結果、おいしいお米が次々と生まれているんです。『彩のきずな』は、もっちりとした食感にバランスの取れた甘味が絶品で、『にこまる』は、炊きあがった艶と粒のそろった食感が魅力。『夢しずく』は、ほどよい粘りと優れた味わい、食欲をそそるふっくらで艶のある光沢がたまりません」(前同)

 また、「天候に左右されないおいしいお米の供給」を目指した結果もある。「北海道の『ななつぼし』や宮城県の『ひとめぼれ』は、耐寒性品種。逆に、『にこまる』や佐賀県の『さがびより』などは暑さに強い品種です。また、青森の『晴天の霹靂』や山形の『つや姫』などは、湿気で発生するいもち病耐性品種。こうした品種を産地で積極的に取り入れたことで、おいしくなったんです」(同)

 また、日穀協のランキングには入っていないが、他にも絶品米はある。全国の酒蔵を巡ってグルメ誌などで執筆、唎酒師の資格も持つ山内聖子氏が、極ウマ米を紹介してくれた。「日本酒の原料となる酒米を育てながら、質の高い食用米も作っている優れた農家が全国に大勢いらっしゃいます。たとえば、静岡の酒『喜久酔』の酒米を作る松下明弘さんが育てた無農薬・無肥料の玄米『カミアカリ』はプチプチもっちりした食感で甘みがあります。昨年より栃木の『仙禽』の酒米を作ることになった、杉山修一さんが育てた有機栽培の『龍の瞳』は、大粒で粘りや弾力があってきれいなうま味が特徴ですね」

 続々と新たな“英雄米”が名乗りをあげるブランド米戦国時代――。自分だけの「お気に入り米」を探すのも一興かもしれない。

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