●神無月の本来の意味は?

 神無月の由来についても、いくつかの説がある。どの月にもいえることだが、地方や地域によってその土地の風土と季節を感じさせる暦の異名が多く存在しているのが面白い。

・新穀で新酒を造る時期なので「醸成月(かみなしづき)」

・10月は宮中祭祀「新嘗祭(にいなめさい)」の準備をすることから「神嘗め月(かんなめづき)」

・かんなづきの「な」は「の」と同じ意味なので「神の月」という意味

・雷が鳴らないので「雷無月(かみなしづき)」

■神無月をめぐる伝説と風習の数々

 神無月のメインスポットといえば島根県。そもそも出雲は“神話の国”とされており、「出雲大社」(いづもおおやしろ)には日本の国土を造ったとされる大国主命(おおくにぬし)がまつられている。世界のあらゆるものを結びつける縁を生む場所、という意味で縁結びのご利益が有名だ。

●「出雲大社」では毎年盛大に神事を実施! 縁結びのご利益も

 例年、旧暦の10月10日には国譲りの舞台となった稲佐の浜にて八百万の神々を出迎える神事「神迎祭(かみむかえさい)」が、10月11日から17日には「神在祭(じんざいさい)」行われる。島根県には「佐太神社」をはじめ、「神在祭」を行う神社がいくつもある。

●出雲で神様たちは何を話し合っている?

 神様たちは会議のために出雲に集合する。その内容とは、来年の気候、農業や漁業についてなど。そして、巷の男女のカップリングを相談しているという。そのため、この時期に独身者は「出雲大社」へ参拝し、神様たちにアピールするといいとされる。

■まとめ

 旧暦における月の名前の語源はいろいろだが、四季を連想させる美しい響きとユニークな由来があった。理由を知ると、自分の子どもの名前に月の名前をつけるのも悪くないと思える。なかでも「神無月」は、日本人の信仰心をうかがわせる月として興味深い。出雲に集う神様の気配が感じられるかどうか、一度は10月に足を運んでみたいものだ。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2
  3. 3