男たちの癒しの場「銭湯」の楽しみ方の画像
男たちの癒しの場「銭湯」の楽しみ方の画像

 男たちには「癒し」が必要だ。もちろん酒や女の子のいるお店もいいが、何かと金はかかるもの。満たされぬ我々の魂をあったか~くしてくれる場所はないか……。「それなら、銭湯が一番。身も心もあったかくなりますよ!」というのは、銭湯や居酒屋を中心に街ネタを取材するライターの茅野草次氏だ。

 銭湯といえば、「古き良き昭和の風景」の代表格。だが、近年は設備の老朽化や生活スタイルの変化によって廃れるいっぽうだ。「確かに、銭湯は年々、数を減らしています。東京都の昨年の調査では、2004年に1025軒あった都内の銭湯は、16年には602軒と激減。利用者数に至っては、4万5676人から2万4089人と、ほぼ半数に落ち込んでいるんです」(茅野氏)

 なんとも景気の悪い話ではあるが、茅野氏によると、「だからこそ見えてきた活路もある」という。どういうことなのか? 「いまや、風呂だけでは客を呼べないと悟り、さまざまに趣向を凝らした企画を行う銭湯も増えています。また、建物や装飾のレトロな魅力にもファンが集まり、みんなで銭湯を楽しもう、という機運も高まってきているんです」(前同) これは興味深い話。さまざまな角度から「銭湯の楽しみ方」を検証してみよう!

(1)お湯のバリエーション

 まずはなんといっても、風呂がなければ始まらない。「いわゆる天然温泉の銭湯も多く、それはそれで魅力的ですが、やはりおススメしたいのは各銭湯が独自のセンスで展開している“薬湯”ですね」(茅野氏)

 端午の節句の菖蒲湯や冬場のゆず湯など、日本には風呂に薬効の見込める植物や生薬を入れる伝統がある。「化学物質を用いない薬用入浴剤としては、最古と言われる『実母散』というものがありますが、これを今でも楽しめる銭湯が東京都荒川区の『梅の湯』。茶色いお湯と、漢方薬のような独特の香りに、ああ、体によさそうだ~という気分になれますよ」(茅野氏)

 ちなみに、茅野氏のおススメは、京都・嵐山の『やしろ湯』だとか。「毎月1~10日は全国の温泉から湯の花を持ってきて全国温泉巡り、そして11~20日はヨモギ、カンゾウ、アロエなどをブレンドした独自の漢方薬湯を展開。さらに、月末まではワインやレモン、ゆずなどの湯も楽しめる、薬湯のテーマパークのような施設です」

(2)リラックス設備

 サウナはもちろん、浴槽に寝転ぶジェットバス、ピリピリと刺激が楽しめる「電気風呂」など、マッサージ効果のある昭和のオヤジ感溢れる設備の数々も大きな魅力だ。「女子ウケするピカピカ度やバリエーションでいえば郊外のスーパー銭湯には敵いませんが、レトロな味があっていいですよ。神戸市にある『芦原温泉』には、なんとも珍しい座り岩盤浴があります。温浴効果のある石をイス形に切り出しており、背をもたれたまま全身を温めることができて、とてもほっこりした気分になれます。かちわり氷の無料サービスもあって、最高ですよ」(茅野氏)

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