(5)多種多様なイベントも

 だが、冒頭で挙げたように、銭湯の利用者は減り続けているのが現実。これを打開し、新たなファン層を獲得すべく、さまざまな試みを行う銭湯が増えている。「ランニングブームの高まりを受け、走っている間は荷物を預かってくれて、走り終えたらそのまま入浴ができるランステ銭湯が増えています。東京だと、隅田川ランナーには100種類の湯が日替わりで楽しめる『薬師湯』、皇居ランナーには半蔵門の『バン・ドゥーシュ』など、人気コースごとにあるのは嬉しいですね」(茅野氏)

 さらに、映画とタイアップした銭湯なんてものも。東京・上野の『寿湯』は、1月21日までハリウッド映画『ジオストーム』とコラボイベントを行っていた。「地球を異常気象が襲うという内容に合わせ、トウガラシ湯でホットな体験ができるマグマ風呂、極寒の水風呂など、作品ファンも喜ぶアトラクションになっていました」(茅野氏)

 他にも、音響を生かして銭湯でライブを行ったり、ギャラリーとしても貸し出したり……と、個性のある建物に新たな付加価値をつけようという動きは多数。「こうした情報を扱う『東京銭湯』という専門サイトや、まだ銭湯に馴染みのない外国人のお客さんに向けて銭湯文化を発信するフランス人の銭湯大使などもおり、いま、さまざまな人が銭湯の楽しみ方を新たに発見・発信しています。みんなで風呂に入る、という世界的にもユニークな文化を、うまく伝えていきたいですねえ」(茅野氏)

 お近くの銭湯にも、必ず何らかの魅力があるはず。敬遠していた人も、一度行ってみてはいかがだろう。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2
  3. 3