■バッター陣にも明るい兆し

 一方、昨年は貧打に泣いた打線にも光明が。まずは、新加入のゲレーロが好調であることだ。「オープン戦の成績は30打数8安打、5本塁打、打率.267と十分合格点。期待通りの活躍が見込めます。これに加えて、若手の岡本和真が、50打数14安打、4本塁打、打率.280と“覚醒”。シーズン中も同じ活躍ができるかどうかは、まだ未知数ですが、彼の活躍が他の若手にもいい刺激を与えています」(専門誌記者)

 若手で現状レギュラー当確と思われるのは、二塁手の吉川尚輝だ。「とはいえ、もう一人の二塁手候補、田中俊太も猛追してきているため、安泰ではありません。また、小林誠司に次ぐ2番手捕手として、大城卓三も成長著しい。岡本を含め、若い力が伸びてきて競争が生まれるのは、チームにとってはいいことです」(巨人軍担当記者)

 おそらく、今年の巨人軍のオーダーは当面、1番陽(中)、2番吉川(二)、3番坂本(遊)、4番ゲレーロ(左)、5番マギー(三)、6番岡本(一)、7番長野(右)、8番小林(捕)、9番が投手になると目される。名前だけ見れば、かなりの強力打線だが、高橋監督にとっては少し心配な点があるという。監督の懸念を直接聞いたという野球評論家の黒江透修氏が、こう語る。「監督は“長野と、陽~吉川のところがよければ、打線がつながるはず”と言っていました。私が気になるのも、陽~吉川の流れです」

 つまり、陽が出塁したあと、吉川がしっかりと3、4番につなぐ打撃ができるか否かだ。「今のところ、吉川は来た球を漫然と打っているように見える。ランナーがいるときもいないときも、同じような打撃をしています。あれでは2番打者の役割は果たせません」(黒江氏)

 もちろん黒江氏も、今年の巨人が昨年とはひと味違うことは認めている。

■広島東洋カープにもつけ入る隙が

 そして、横浜と阪神というライバル2球団に暗雲が垂れ込めているのも、巨人にとっては好材料だ。「横浜は昨年の躍進の立役者の一人、ウィーランドがここにきて故障。期待のルーキー・東克樹も、肩に不安があることが発覚し、序盤はローテのやりくりが難しくなるはず。阪神は藤浪晋太郎が相変わらずの不安要因。頼りになるのがメッセンジャー一人では、長いペナントを乗り切るのは難しいでしょう」(スポーツ紙デスク)

 となると、最大の敵は3連覇を狙う広島だが、つけ入る隙がないわけではない。「広島は、昨年勝ち星を稼いだ大瀬良や薮田といった投手が、今年は今ひとつ。投手陣が充実した巨人が強力打線を抑えることができれば、打力で互角なら勝てます」(前出の専門誌記者)

 “球界盟主”の復権はあるか? 運命のシーズンが3月30日、いよいよ始まる。

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