長生きできる「病院の使い方」今話題の賢い“患者力”を伝授の画像
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 どんなことだって、上手い下手があるんです。医者にかかるときだって、秘訣があるってご存じでしたか?

 最近、耳にするようになった「患者力」という言葉。医者の言うことに無批判に従うのではなく、ケガや病気を効率よく治すために賢く振る舞う能力、といった意味だ。言い換えれば現代は、良い医療の選択次第で、長生きできるかどうかが決まる時代なのだ。

■いいファミリードクターを選ぶこと

 2016年から、特別な場合を除き、紹介状なしで大病院で受診するには特別な料金がかかるようになったため、体に不具合が出た場合、まず訪れるのは近所の開業医――いわゆる「町医者」だろう。『死ぬときに後悔しない――医者とクスリの選び方』(アスコム)などの著書もある新潟大学名誉教授の岡田正彦・医学博士も、「私は何よりもまず、いい家庭医、いわゆるファミリードクターを選ぶことが、長生きできるかどうかのポイントだと思います」と、信頼できるかかりつけの医者を見つけることが大切と説明する。

 岡田氏が続ける。「まず何より、患者の質問に嫌な顔をせずキチンと答えてくれるかどうか。コミュニケーションが取れる誠実な医者が一番です」

 医師としての腕前は、「脳外科手術など、よほどの専門分野でもなければ、ほとんど差はありません(笑)。むしろ、むやみに検診を勧めない、処方する薬が少なく副作用をキチンと説明してくれるか……などのほうが重要です」(前同)

 過剰な医療や薬投与などは、患者の寿命を縮めかねないので、良い家庭医はそういうことをしないという。ちなみに、あなたの医者を以下の5つのポイントに照合して、複数チェックが入る場合は要注意だ。

  • □診療科目が多い(患者獲得のため、専門外も対応している可能性がある)
  • □看護師やスタッフの態度がよくない(医師の人柄が悪影響を与えている)
  • □最新設備が多い(検査費用狙いかも)
  • □医師の趣味はゴルフで、車は高級外車(患者本位でない可能性が)
  • □いつ行っても空いている(何か、よくない原因が)

 とはいえ、最後の項目だけは、「患者重視」の視点から、待ち時間を工夫している可能性もある。京都産業医事務所所長の橋本惠氏(医学博士)が語る。「最近は、受付で患者の携帯電話の番号を控えておき、順番が近づいたら呼び出してくれるクリニックも多いようです」

■患者は的確な情報を伝えるべき

 医者のみならず、患者のほうにもコミュニケーション力は必要だ。神奈川県のクリニックに勤務するスタッフによると、「たとえば患者さんが、脚が腫れて痛がっているとしますよね。医師は、腫れているのは見たら分かりますが、そこで、ただ“痛い”と言うだけではなく、いつから痛いのか、どのくらい痛いのか、過去の病歴はあるのか、どういう仕事をしているのか、治療が生活に影響があるのか、などの情報の有無で、治療の内容も変わります。患者さんは、的確な情報を伝えたほうが断然、長生きできると思います」と、コミュニケーションを通じて信頼関係を築くのが重要だと言うのだ。いずれは、ちょっとした不調の際、電話で相談できるくらいの仲になっておきたい。「初対面の患者さんだと、医師やスタッフも緊張するものです。でも、ある程度の関係が築けていれば、患者さんの事情も分かっているし、いろいろ提案もしやすいと思います」(前同)

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