■複数のクリニックを受診するのは要注意

 なお、かかりつけの医者は、内科医が一人いれば十分なのだという。そのうえで、耳鼻科や形成外科や歯科など他の医院で受診した場合は、どんな処置をされたのか、そのかかりつけ医に伝えておくのがいいだろう。というのは、薬の飲み過ぎや、薬同士の飲み合わせの問題があるからだ。中には、風邪をひいたら一般の内科に行き、喘息なら呼吸器内科、糖尿病は糖尿病専門内科に……と分けている人もいるだろうが、「複数のクリニックを受診されていると、同じような効果の薬がいくつも出され、結果、過剰投与の問題が生じます。また、薬同士の飲み合わせで副作用の問題が出ることも。私の知ってる人の中には、毎日24種類の薬を飲まれている方がいました。私は10種類以上飲んでいる患者さんと出会ったら、最初に取り掛かるのが減薬です」(前出の岡田氏)

 さらに最近は「配合剤」という薬が流行しており、これも要注意とのことだ。「効き目の異なる数種類の薬を合わせた薬。たとえば、高コレステロール薬と高血圧薬の既存薬を単に組み合わせただけのものなどがあります。これらは新薬として製薬会社の儲けのために発売されたうえ、がんリスクが高まるものまであるので要注意です」(岡田氏)

■薬剤師も長生きのために重要

 こうした薬のリスクを見極めてくれるのが、薬の専門家である薬剤師。その薬剤師が患者の健康のために見るのが、あなたが今、どんな薬を飲んでいるかひと目で分かる「お薬手帳」だ。したがって、家庭医同様、親しい薬剤師を持つこともあなたの長生きのためには重要というわけだ。複数の内科を受診し、それぞれの医院の近くにある薬局で薬をもらい、複数の「お薬手帳」をバラバラに持っていたのでは、どうしてもチェックが甘くなる。これを機会に、薬剤師も統一しよう。

 余談ながら、薬の飲み方にもご注意を。「たとえばグレープフルーツの成分は肝臓における薬の代謝を阻害し、高血圧薬や高コレステロール薬の血中濃度が必要以上に高くなることがあります。また、血栓予防のためのワルファリンという薬は、納豆などと摂ると効果がなくなります」(前出の橋本氏) 薬は必ず水で飲むべし。

■脳や心臓疾患など、大病院の選択は?

 ここまでは比較的軽症のケースだが、がんや脳の障害、心臓疾患などの重大病となれば、町の開業医では対応できないことも。そこで重要になってくるのが、大病院の選択だ。前出の岡田氏は、かかりつけの家庭医に紹介状を書いてもらえれば、まず大丈夫だという。「もし万が一、大病院でたまたま悪い医者が担当になってしまった場合は、その病院の苦情処理係に言うなり、あるいは理由を伝えて家庭医に再度、紹介状を書いてもらうのがよいでしょう」(岡田氏)

 とはいえ、今のところまだ、紹介状を書いてくれるかかりつけ医がいない人はどうしたらいいのか。書店に足を運べば、こうした専門病院や医者のランク付けをした書籍がたくさん出てもいるが、読んでいる時間も気力もない場合も多い。前出の橋本氏が、こうアドバイスする。「できるならば国立病院、日赤病院、大学病院など、母体の確かな公的医療機関がいいでしょう。こうした病院は、一定のレベルが維持されているからです。さらに最善を期すなら、総合病院が無難です。がんなど特定の疾患で入院したとしても、入院中に眼科や耳鼻科といった、それ以外の診療科の受診が必要になってくることが、少なくないからです」

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