新型新幹線「N700S」は、最先端技術搭載の新時代車両!の画像
「デュアル スプリーム ウイング形」と呼ばれるN700Aを世襲している

 2018年3月10日、JR東海浜松工場において次世代新幹線電車N700S系が報道陣に公開された。

 この電車は東海道新幹線・山陽新幹線で走行中の定着したN700系シリーズの中でも、高性能技術を誇る新幹線車両を意味する「Supreme(最高)」の「S」を付けて「N700S」としている。

 全体のイメージはこれまでのN700Aと大差はないが、中身の機器が最新の技術を駆使したものに刷新されており、高性能、コンパクト化されている。

 動力源となる駆動モーターは電磁石を4極から6極に増やすことにより、電磁石を小型化。従来の出力を確保しながらN700Aに比べ、約70キロも軽量化した。

 地震発生や、気象変化での停電の際に発動する「台車振動検知システム」は、さらに安全性と機能が向上している。

 また、高速鉄道では、初の試みとなるリチウムイオン電池を用いたバッテリーシステムを搭載。これにより、停電の状態に陥ってしまった場合でも低速での自力走行が可能となり、緊急時に乗客を安全な場所へ移動することができるのだ。

 デザイン的には、先頭流線形は「デュアル スプリーム ウイング形」といわれ、左右両サイドにエッジを立てた形をとっており、空気抵抗、走行風を整えてトンネル気圧波・車外騒音・走行抵抗・最後尾動揺を低減させている。

 JR東海によると、車両デザインは700系やN700系で知られる福田哲夫氏を中心に、名古屋学芸大学教授の木村一男氏、札幌市立大学理事長の蓮見孝氏、名古屋工業大学教授の井上雅弘氏の4人のデザイナーと、有識者により決定されたという。

 気になる乗り心地や、車内設備としては、照明にLED間接照明を採用し、停車駅に近づいた際は荷棚付近の明るさを上げ、荷棚にある荷物への忘れ物などの注意をうながす機能が新たに搭載された。

 グリーン座席は、N700系から好評の「シンクロナイズド・コンフォートシート」を進化させ、リクライニング時の座面と背もたれの角度を心地よく過ごせるように、改良されている。

 普通座席車は、全座席にコンセントを設置。リクライニングレバー形状の最適化により、操作性を向上させた。

 今回、報道陣に公開されたN700Sは、営業運転用の量産車の一段階前となる「確認試験車」。今後、試運転を重ね、新技術の検証などを行い、2020年のオリンピックイヤーには、次世代新幹線として、量産車のN700Sが加わることになるだろう。

 新時代を切り開く最先端技術を搭載した新幹線に乗る日が、今から待ち遠しい。

写真・文/南正時(鉄道写真家)

本日の新着記事を読む