貴乃花親方の「革命」に暗雲、逆襲はあるのか?の画像
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「相撲界の体質改善を訴えて孤軍奮闘してきた貴乃花親方でしたが、まさに飼い犬に手を噛まれた感じですね」(スポーツ紙相撲記者)

 3月9日、貴乃花親方は、元横綱・日馬富士による貴ノ岩への傷害事件に関する日本相撲協会の一連の対応に問題があったとして、内閣府の公益認定等委員会に告発状を提出。相撲協会に反撃に出たわけだが、わずか10日にして立場がすっかり逆転してしまった。「春場所8日目、部屋の愛弟子である十両・貴公俊が、付け人の連絡ミスで取組前に土俵下へ入場するのが遅れたことに腹を立て、その付け人に暴力を振るう事件が発生したんです」(前同)

 貴公俊が付け人を数発殴打したのは、取組後の支度部屋で、流血させる騒ぎとなった。「暴力追放の急先鋒として立ち上がった矢先の弟子の不祥事。これじゃ、なんの説得力もないです」(同)

 協会は待ってましたとばかりに、この暴力行為を公表、調査を行った。当然、貴乃花親方の指導力に疑問を呈する声も聞こえ始めている。「貴乃花親方は改革を叫ぶが、仮に自分が理事長になって本当にやれるのか? 結局、理想論を言っているだけで、具体策も実行力もないのでは? 愛弟子にして、この始末なんですから」(協会関係者)

 また、昨年12月29日夜、貴乃花部屋の力士がジャージに運動靴で銀座を歩き回り、年明け早々、春日野理事に叱責された事件も再注目された。その中に、今回の暴力事件を起こした貴公俊もいたからだ。「伝統やしきたりを重視する角界には、服装規定があり、外出の際は着物を着て、まげを結わないといけないんです。そのことは、相撲教習所で嫌というほど叩き込まれているはず。これは、貴乃花親方が、ことさら口にする“相撲は神事”にも通じることです。指導が徹底していないといわれても、弁解の余地はありませんよ」(前同)

 これらの“指導力不足”は、貴乃花親方が「通い親方」なので十分、目が届かないためとの見方もある。「師匠の大半は自宅と相撲部屋を兼ねていますが、貴乃花は別にしています。24時間、弟子の言動に目を光らせる必要はありませんが、どこまで本気で面倒を見ているのか、疑問の声が上がるのも無理はない」(同)

■相撲協会の露骨な印象操作も

 それに加えて、貴乃花親方には、春場所中の連日の“無断欠勤”問題もある。「貴乃花親方は理事解任後、役員待遇委員(指導普及部副部長)を務めており、場所中は役員室に常駐義務があるんですが、春場所に復帰した貴ノ岩の様子を見ることを理由に欠勤。これを協会がとがめると、理事室に“あ~す”と挨拶だけして出て行くといった態度が問題視されていました」(前出の相撲記者)

 前述した告発状を出していたことから、シンパの中には協会に対する抗議の意味からの「一人ストライキ」との見方もあったが、「協会に出向いても白い目で見られ、誰も話しかけてもくれない。そのため、顔を出しにくいので出て来ないだけのことだったのではないかとの見方が強くなり、シンパは離れていく一方です。これでは部屋の存続も危ういのではないかと、もっぱらです」(前同)

 この状況からすると、貴乃花親方、孤立無援、万策尽きたようにも思えるが、「今回の暴力事件では、“殴られた子の気持ちになれば、相撲の勝ち負け以前の問題”と、負け越せば幕下陥落が確実であるにもかかわらず即、貴公俊を休場させるなど、迅速かつ的確な態度は変わりありません」(別の相撲記者)

 他方、協会に対しては、「これまでにないスピードで協会が対応したのは、憎い貴乃花部屋のことだからでしょう。同時に発表された峰崎部屋の暴力事件では、現役もいるのに実名が伏せられ、ほとんど話題にもならない。協会の露骨な印象操作と見る向きも少なからずあります」(前同)

 3月29日に行われた日本相撲協会の理事会では、貴乃花親方らへの処分が決定。貴乃花親方は年寄への2階級降格、貴公俊は1場所の出場停止となった。貴乃花親方の土俵際からの逆転はあるのか!?

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