葵わかな、『わろてんか』後の活躍が期待できる理由

 NHKの連続テレビ小説わろてんか』が、半年間の放送を終えた。放送開始当初はその駆け足の展開に厳しい意見も多かった本作だが、視聴率はしっかり20%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)の近辺をキープ。大きく人気が落ち込むこともなく、見事に大団円を迎えた。この最終回を見て、ヒロインのてんを演じた葵わかな(19)の成長が、ドラマを支えたことをあらためて痛感させられたのだが、まずは3月31日に放送された最終回を振り返ってみよう。

 戦後、再び立ち上がった北村笑店の一同は、焼け跡の中に作った舞台で青空喜劇を開くことに。『北村笑店物語』と題された劇は、てんの半生と北村笑店の成功までを描くものだった。途中、藤吉役を演じていた田口(辻本祐樹/33)に、本物の藤吉(松坂桃李/29)が憑依し、喜劇は大成功。伊能(高橋一生/37)や観客らは、これを大笑いしながら鑑賞した。最後は「わろてんか」と一同が声を合わせ、物語は大団円。てんは「これからもわろてんか」と、藤吉と再び歩いていくことを誓うのだった。

 朝ドラ史に残る、衝撃的な最終回だった。物語前半を劇中劇で振り返ることで、回想シーンはゼロ。これはモデルである吉本興業の看板芸、“吉本新喜劇”の始まりを描くことにもつながっていて、本当にお見事。SNSでは「素晴らしい最終回!」「新喜劇そのまんま」と視聴者たちも絶賛していた。

 さすがは吉本新喜劇の座長、という間の良さで喜劇を支えていた亀井庄助役の内場勝則(57)や、寺ギンにふんしたシローを演じた松尾諭(42)への賞賛も相次いでいたが、劇中劇らしい、葵のあえてのおぼつかない演技も好印象だった。そして、このおぼつかない雰囲気は、まさに物語前半を想起させてくれるもので、葵わかなの、この半年間での成長を感じられた。

『わろてんか』は松坂桃李に濱田岳(29)、高橋一生と、今をときめく名優たちの起用が話題となったが、俳優それぞれのキャラで見せたというよりも、あくまで葵わかなが演じたてんとの関係性を描くドラマだった。葵は17歳から50代まで、一人の女性の半生を演じる大役を、真っ向から引き受け続けた。もちろん役者としての若さも目立ち、見ているほうがもどかしくなる場面もあったが、物語後半では、役どころのてんが女性として成長していったように、葵の芝居にも年季が感じられるようになった。

 そんな葵だが、さっそくこの4月からのドラマ『ブラックペアン』(TBS系)で、看護師役での出演が決まっている。この夏には主演映画『青夏 AO-Natsu』の公開も控えていて、脱朝ドラ女優の準備は万全だ。朝ドラに出ると、その役のイメージが抜けずに困るという話をよく聞くが、葵の場合は『ブラックペアン』と『青夏 AO-Natsu』では、自分の実年齢に近い役柄を得ている。てんのイメージにとらわれることなく、葵自身の演技を見せてくれるだろう。

 同じく朝ドラ出身の芳根京子(21)が『海月姫』(フジテレビ系)の怪演で名を上げたが、葵も民放でブレイクする可能性は十分に感じる。高校生役も普通に務まる19歳という年齢もあり、これから各局から引く手あまただろう。朝ドラに戻ってきてくれることを期待しつつ、今後もてんちゃんの活躍を見守りたい。(半澤則吉)

朝ドラ批評家半澤の朝ドラブログ
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