桜の便りとともに始まった2018年春のG1シリーズ第1弾「高松宮記念」は、ロイヤルブルーの勝負服で知られるゴドルフィンのファインニードルが優勝。「決め手勝負になればチャンスは、間違いなくある」と、強い思いで臨んだ僕とダンスディレクターは掲示板は確保したものの、4着という不本意な結果に終わってしまいました。

 当日の中京の馬場は良の発表。しかし、週半ばに降った雨の影響に加え、芝がやや長く、力も要求される馬場も影響したのでしょう。最後の直線でGOサインに応えたダンスディレクターの伸び脚は、一瞬、「全部まとめて差し切れる」と思ったほどの勢いでしたが、それもハナ差の2着に敗れたレッツゴードンキの影を捉えたところまでで……。3コーナーで手綱を引っ張らなければいけなくなったほんのわずかなアクシデントが、最後に響いてしまいました。

――あれがなければ、勝てた!? う~ん、どうでしょう。きわどい勝負に持ち込めたのは間違いありませんが、勝てると思ったレースで負けることもあれば、自信のない馬で勝つこともあるのが競馬です。

■第54回G1桜花賞をオグリローマンでV

 そう、あれは、オグリローマンとともに挑んだ1994年第54回「桜花賞」でした。オグリキャップの半妹で笠松では7戦6勝。鳴り物入りで移籍してきたときは、「チャンスがあれば乗ってみたい」牝馬でした。ところが騎乗依頼をいただいた中央初戦のエルフィンSは9頭立ての9着。近くに馬がくると怖がる気性は、どう乗ったらいいのか分からず頭を抱えるほどです。しかも、この桜花賞はよりにもよって1枠1番です。実際、レースがスタートした後も、ずっと外に持ち出せるチャンスがなくて。半ば、終わったかな、と諦めかけていたほどでした。

 それでも勝てたのは、オグリ一族が持つ不思議な血の力かもしれませんね。なぜか、このレースのときだけは、他馬を怖がるところがまったくなくて。最後の直線で外に持ち出すと、驚くほど鋭い末脚で桜の冠を戴いていました。

 なんで、勝てたんやろう!? 24年たった今も、その答えは分かりません。最後の最後まで、何が起きるかわからないのが競馬です。だから、競馬は難しいし、面白いのだと思います。

■ドバイワールドカップから帰り、今週はマウレアとのコンビ!

 ドバイから帰ってきて迎える今年の「桜花賞」は、前走、チューリップ賞で権利をつかみとったマウレアとのコンビです。人気は、4戦4勝のラッキーライラックと、牡馬混合の重賞、シンザン記念を勝ったアーモンドアイの2頭に集まりそうですが、逆転不可能なほど、その差があるとは思っていません。無事にゲートまでたどり着き、互角のスタートが切れれば、出走全馬に戴冠のチャンスはあります。強い馬が強い競馬をするのも競馬の魅力のひとつであるように、ファンをアッと言わせるのも競馬の面白さのひとつです。

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