万引きGメンが警告! 窃盗と高齢者社会の「根深い闇」

 今年2月9日、群馬県太田市で、まさかの事件が起きていた。元マラソン世界選手権代表選手の原裕美子被告(36)が、スーパーでキャンディなど382円分の商品を万引きし、現行犯逮捕されていたのだ。「原被告は、昨年7月にも栃木県足利市内のコンビニで菓子パンなど、およそ2600円分の商品を万引きし、逮捕された。11月に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けたばかりでした」(全国紙社会部記者)

■有名アスリートの事件には驚愕するが

 将来を嘱望された有名アスリートの万引きが世間に与えた衝撃は大きいが、現在、最も深刻なのは、高齢者による万引きが増え続けていることだという。『万引き老人』(双葉社)の著書があり、この道19年の現役万引きGメンである伊東ゆう氏は、こう話す。「近くにガラの悪い学校がある地域では、未成年者の万引きが増えることがありますが、私が捕捉した肌感覚から言うと、全体の6~7割が高齢者による犯行と考えられます」

 また、平成27年度の犯罪白書によれば、一般刑法犯として検挙された65歳以上の高齢者の罪状は、7割以上が窃盗で、そのうち約6割が万引き。しかも、この四半世紀で検挙者数は5倍になっているという。原因は何か。前出の社会部記者が、「貧困や孤独が精神を蝕んでいるとみられます」と分析するように、物価上昇が続く昨今、生活が苦しい高齢者が増えている厳しい現実があるのだろう。他者に助けを求めたり、相談しにくい“核家族化”の弊害も否めない。伊東氏が、これまで捕捉してきた高齢者は、手持ちの金が100円以下の人もザラだったという。また、「高齢者の万引きは、1回あたり基本、1000円足らずですが、反面、常習者が多い。常習者は85歳以上が多く、バナナや惣菜など、なんでも持って行きます」(伊東氏)

 通報後、引き取り手がいないケースも多いそうで、「高齢者に限れば、6~7割が独り暮らし。この場合、“ヤサカク”といって、警察の人が自宅確認をするんですが、その際に、近所の人に犯行がバレてしまいます。それを嫌がる人は多いですね」(同)

■認知症を演じても警察の取り調べを受けると

“認知症”を演じる人もいるというが、警察の取り調べを受けて、なお演じ続けることは難しいようだ。「捕捉された高齢者は、スーパーやコンビニの奥の部屋に連れて行かれると、土下座で許しを請う人、身柄引き受けに来た家族と修羅場になる人、そして自殺してしまう人もいます。万引きに手を染める人は、生活保護の打ち切りや施設を追い出された者など、生きるために盗んだ人がほとんどです」(伊東氏)

 経済政策の効果を喧伝する政治家たちは、万引き老人が増え続ける現実を、どう考えるのか。

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