大谷翔平が「二刀流を捨てる日」の画像
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 やはり、背番号17の“赤いサムライ”は別次元の存在だった。今季からメジャーリーグ・エンゼルスに移籍した大谷翔平(23)が、ファンを熱狂させている。3月30日(日本時間=以下同)のアスレチックスとの開幕戦に、8番DHで先発し、メジャー初打席初安打。4月2日には、投手としてメジャー初先発で初勝利を挙げた大谷。「開幕戦に野手で先発出場し、開幕10試合以内に投手でも先発登板というのは、ベーブ・ルース以来99年ぶりのこと。大谷の名前が歴史に刻まれました」(在米ジャーナリスト)

 そして、メジャー初本塁打は、4日のインディアンス戦だった。1回裏二、三塁で大谷がバットを一閃すると、白球は天高く舞い上がり、右中間のスタンドに飛び込んだのだ。「ビッグフライ! オータニサン!」と現地のテレビ解説者が絶叫し、観客が総立ちで熱狂する中、大谷はダイヤモンドを一周。ベンチで彼を迎えたのは、新人が初本塁打を放ったときの“お約束”、サイレントトリートメントだった。両手を挙げる大谷にチームメートはソッポを向き、数秒間、誰も相手にしない。たまらず、大谷が「ねえねえ」と言わんばかりに一人の背中にしがみつくと、それを合図に、エンゼルスの全選手が熱烈に若武者を祝福した。「いやー、大谷、かわいかったですね(笑)。あの光景から、どれだけ彼がチームメイトから信頼され、愛されているのかが分かります」(スポーツ紙記者)

 大谷を二刀流で使うため、チームは“特別ローテ”で今季に臨んでいる。メジャーでは5人の先発投手で、中4日のローテーションを回すが、エンゼルスのソーシア監督は先発6人体制を採用。登板間隔を中5日~6日あけることで、大谷の疲労の軽減を図る狙いがある。

 その後も大谷は3試合連続ホームラン、あわや“パーフェクト”で挙げた2勝目など、二刀流での快進撃を続けている。

 大リーグ研究家の福島良一さんは、この活躍に驚きを隠さない。「まさか、ここまでやるとは……。なにしろ、オープン戦が悪すぎましたから」 大谷のオープン戦は、打率.100、防御率27.00。あまりの惨状に、一部の地元メディアからは「オオタニの打撃はアメリカの高校生レベル。マイナーからやり直したほうがいいのではないか」との辛辣な声も飛び出していたほど。「エンゼルスには現在、左の強打者が不足しています。大谷が打者としてエンゼルスで期待されているのは、長距離バッターとしての役割だったのに、オープン戦でのヒットは単打のみで、期待ハズレと評価する人も少なくなかったんです」(前出の福島氏) しかし、ソーシア監督が何より高く評価する“適応力”を見せ、大谷は開幕ダッシュに成功した。

■昨シーズンの悪夢が頭をよぎり

 その二刀流の切れ味に、曇りはないように思えるが、好事魔多し。決して万全ではない、という声が。「本人と球団が、何よりも恐れているのはケガ。昨シーズンの悪夢が、どうしても頭をよぎります」(前出のスポーツ紙記者)

 17年シーズン、足首の故障でWBCを辞退したものの、大谷は開幕から打者として出場し、打ちまくった。8試合で打率.407、本塁打2本。しかし、4月8日に左太もも裏の肉離れを起こし、約3か月間欠場。6月27日に打者として復帰したが、投手としての登板は、首位と22ゲーム差がつき、ほぼ5位が確定した7月12日だった……。「シビアなメジャーの球団は、そんな事態は許しませんよ。環境も変わり、試合数の多さ、移動距離の長さ、無制限の延長と、ハードさはケタ違いですから、少しでもリスクがあると判断すれば、二刀流にストップがかかるでしょう」(前出のジャーナリスト)

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