そんな窮地の貴乃花親方を、さらに追い込むのが台所事情だ。「理事時代の月収は144万8000円でしたが、5階級下がってヒラの年寄となると、月収は64万円ダウンの80万8000円。現在の貴乃花部屋は賃借で、その家賃は高額ですから、財政状況はかなり厳しくなります。おかみさんの花田景子さんにも、一肌脱いでもらわないといけないのでは」(後援者の一人)

■八角理事長体制は盤石に

 一兵卒・貴乃花親方に茨の道が待ち受ける一方、その地位をさらに強固なものとしたのが八角理事長。「ライバル不在の中、無風で理事長3選を決め、今や八角体制は盤石。関係者の多くは八角理事長が5期10年務めると見ています。仮に理事長を辞めても、八角理事長の指南役を務める、ナンバー2の尾車親方(元大関・琴風)が継ぐでしょう」(スポーツ紙記者)

 こうなると、貴乃花親方の“下積み期間”は、10年は続くことになる。しかも、新たなライバルまで出現しているという。「今回、貴乃花親方の“見張り番”として、副理事の藤島親方(元大関・武双山)も審判部副部長になりましたが、彼は最大派閥・出羽海一門で、貴乃花と同年代のエース。将来の理事長候補とも目されています」(前出の相撲記者)

■引退した白鵬に地位を追い抜かれる可能性も

 出直したとて、理事長など論外、理事の芽すら白紙が現状のようだ。さらに、「貴乃花親方が向こう10年、下積み仕事をしているうちに、確実に白鵬は引退します。国籍問題さえクリアすれば、優勝回数40回という偉業を達成した白鵬に、一代年寄が承認されることは必至。通常、引退したての“親方1年生”はヒラの年寄から始め、花道の警備や切符のモギリなどを担当しますが、一代年寄の場合は、3段階上の“委員”から始めるのが通例です。数年たっても、貴乃花親方がヒラ年寄のままだとすると、白鵬にその地位を追い抜かれる可能性すらあります」(前同)

 そもそも、貴乃花親方が頑なに協会へ反発してきたのは、元日馬富士による暴行事件現場に同席していた白鵬の責任も追及するため。「テレビ朝日による独占インタビューでも“暴行事件に同席した力士が土俵に上がるというのは、神事に反する”と、白鵬らを猛批判しました。そんな白鵬に地位も月収も劣ることになれば、その胸中はいかばかりでしょうか……」(同)

 絶望的な状況に陥った貴乃花親方だが、唯一の救いはファンの存在だという。「春場所では、京都府宇治市の貴乃花部屋宿舎に、ファンからの差し入れが殺到。飲料水から米、肉、野菜などの現物が届きましたが、いつもの倍以上の量でした。さらに、場所前の3月4日の日曜には、公開稽古に600人以上が見学に訪れました。これは宇治市を拠点とした11年前から、歴代最多の人数ですよ」(地元記者)

 騒動はいったん収束したが、協会の隠ぺい体質はいまだ解決されぬまま。ファンの応援を背に、貴乃花親方が動き出す日は、来るのだろうか――。

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