■食材1グラム1円の法則とは!?

 続いて食。安く昼食を済ませようとすると、「ファストフード店で500円のセットにしよう」など考えるのが普通だろう。しかし井村氏は、「まあ、否定はしませんが、もっとコスパのいいやり方はいくらでもありますよね」と、またしても言う。「そもそも外食は基本的にコスパが悪いです。僕は、どうしても外で昼食をとるときは、家からチョコとナッツを持っていきます。先日は少し物足りないかと思ったので、ずっと食べたかったスーパーの1つ70円のおにぎりを2つ買い、持っていきました」と、力強い目力で語るコスパ人間・井村氏だが、このスーパーは“食”において、やはり強い味方だという。「引っ越したら、まずは近所に、どんなスーパーがあるかチェックすることから生活が始まる」と言う井村氏は続ける。

「スーパーで重要なチェックポイントは、夜何時に惣菜や弁当類が見切り品になるのかということ。また、特にコスパがいいのは寿司です。スーパーは店内で魚をさばいていることが多く、鮮度は十分。大手回転寿司チェーンもライバル視するレベルにあります」 回転寿司が定番となった近年、「1皿2貫100円」が値段の目安になるという。つまり、スーパーの見切り寿司詰め合わせが10貫500円以下になっていれば、「回転寿司より安く、いいものが食べられるということになりますので、その寿司は即“買い”です!」

 ここで井村氏は、スーパーで食材を購入するか否かの目安を教えてくれた。「僕が唱えているのが、“1グラム1円”の法則です。たとえば、“豚コマ肉大特価! 100グラム120円”という商品を見ても、安いと思わないでください。100円を切る、すなわちグラム数より値段が安いなら、“買い”です。菓子類も同じ傾向があるので覚えやすいと思います」

 井村氏は食材の底値を携帯電話に記録していき、今ではほぼすべてが脳内にインプットされているという。「家計簿をつけるより底値を覚えておくほうが血肉になる。後からちまちま家計簿をつけても、どうせ、なんの反省もしないし、意味がないんですよ。そのつど、全力で最善の選択をし続けることが重要なんです」

 そんなコスパ絶対男・井村氏でもランチで外食を受け入れるときがあるという。まずは一つ目が、外出先に、株主優待券が使える店があるとき。「先日、家族で『はなまるうどん』に行ったんですが、頼んだのは、330円のかけうどん大に、おろししょうゆ中300円。それに140円のえび天とかきあげをつけました。僕は、はなまるでも使える吉野家の300円株主優待券2枚と、同店のアプリのてんぷら無料クーポンを組み合わせ、その食事を現金持ち出し総額30円で食べました」 現代社会で家族での外食をたった30円で済ますとは衝撃なのだが、これは、井村氏が株主優待券を持っているからできる技。

 二つ目の外食を受け入れるときを聞こう。井村氏は、「それは僕の大好物のラーメンです!」と言うのだ。だが、ラーメンの麺は小麦粉で原価率は低いはず。もはや好みだけなのではと思いきや、「いやいや、ラーメンは圧倒的なコスパめしです」と井村氏は語るのだ。「ラーメンはさまざまな食材を数日前から仕込み、スープは常に火を点けたまま煮込みます。つまり、1杯に、相当な人件費やガス代がかかっているんです。それを大量生産することによりコストを下げ、700円程度で提供している。それができているのは、多くの人がラーメンを消費する文化がある日本だからで、近年、ラーメンが流行中のロンドンでは、1杯2000円弱するそうですよ。家で、同じ手順であの味を再現することはめちゃくちゃ大変ですし、ガス代もものすごくかかりますよ」

 一転、ランチの定番といえば、サラダや飲み物、デザートがついたパスタセットがあるが、井村は「非常にコスパ悪し」と手厳しい。「もちろん特別においしいのもありますが、これ、家でも簡単に作れるでしょ、というものもよくある。それでいてセットで1200円とかしますからね」 外食は、家では食べられないものを食べることが、コスパ的には優良なのだ。

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