松田翔太
松田翔太

 鈴木亮平(35)が主人公の西郷吉之助を演じる大河ドラマ西郷どん』は、いよいよ物語前半の佳境を迎えようとしている。第14回(4月15日)の放送は、これまで将軍継嗣問題から目をそらしてきた一橋慶喜(松田翔太/32)が、ついに将軍になる意思を示すという、重要な回だった。内容を振り返ってみよう。

 しばしの帰郷を終えて、再び江戸にやってきた吉之助は、越前藩邸の松平慶永(津田寛治/52)を訪ねる。そこで徳川斉昭(伊武雅刀/69)の評判が落ちているということを聞くと、一橋派と南紀派の幕府内の政争を鎮めるため、後日、一橋慶喜に将軍になるよう迫った。

 その後、島津斉彬(渡辺謙/58)から、慶喜を将軍にすべきという建白書が提出されると、吉之助は政敵である井伊直弼(佐野史郎/63)に招かれた。そこで井伊から斉彬の情報を渡す密告役になるよう求められるが、これを固辞する。

 そして、ある夜、慶喜の命が狙われた。吉之助は刺客を討ち、涙ながらにその熱い想いを慶喜に伝える。翌朝、慶喜に連れられ、吉之助たちは井伊を訪問。慶喜は「紀州藩を渡す」という話を持ちかけた井伊に怒りを表し、ついに「俺が将軍になろう」と、決意表明をするのだった。

 この回で演技が輝いていたのは、やはり一橋慶喜役の松田翔太だ。井伊直弼に怒りをぶつけるシーンは、見応え十分だった。松田は2008年の大河ドラマ『篤姫』で14代将軍徳川家茂を、12年の『平清盛』で後白河法皇を演じていて、大河ドラマの常連と言ってよい存在だ。大河といえば、今回の『西郷どん』のような、名もなき武士の立身出世や、戦国武将たちの猛々しい戦いが見どころだが、松田は将軍家や天皇家など、他の武士たちとは一線を画す気位の高い役を当てられていることが興味深い。ご存知の通り、松田の父は故松田優作、母は松田美由紀(56)、そして兄は松田龍平(34)だ。超がつく芸能人一家に育ち、若い頃から注目されてきたサラブレットだからこそ、成り立つ“将軍役”なのだ。

本木雅弘と松田翔太の共通点は?

 実は大河の慶喜枠はサラブレット俳優が演じることが多い。15年『花燃ゆ』ではお笑いコンビ、どぶろっくの森慎太郎(39)という変化球だったが、このようなイレギュラーな起用以外は、過去にこの大役を務めた俳優陣は、ものすごいメンツなのだ。1998年『徳川慶喜』で主役を演じた本木雅弘(52)は、歌手で女優の内田也哉子(42)と結婚し、義父の内田裕也(78)、義母の樹木希林(75)、そして実の娘の内田伽羅(18)も女優と、まさに芸能一家。2008年の『篤姫』での慶喜は平岳大(43)で、両親が故平幹二朗と佐久間良子(79)と、ともに往年の名優だ。極めつきは13年『八重の桜』の小泉孝太郎(39)。言わずと知れた、元総理大臣小泉純一郎氏(76)の息子である。

 どうだろう、このサラブレット感! 大河では、最後の将軍、徳川慶喜は重要な役どころになることが多い。激動の時代のど真ん中に生きた知将として、インテリジェンスも求められるし“お家柄”も重要なのだ。今後も慶喜役の松田翔太の、ひしひしと感じる育ちの良さと、父親譲りの迫力ある芝居に注目していきたい!(半澤則吉)

あわせて読む:
・『西郷どん』、泉ピン子の圧倒的「バケモノ感」に戦慄